体に必要な栄養素には、不足しがちなものと、めったに不足しないものとがあります。
今回は、普通の食生活をしていれば不足することがないビタミンやミネラルなどの栄養素について調べてみました。
セレン(Se)
ミネラルの一つです。
セレンはビタミンEと同じく、動脈硬化の原因となる過酸化脂質の働きを抑制する抗酸化作用があります。
1日に必要とされる摂取量は20代男性で約30μgですが、魚介類や肉、卵などに豊富に含まれている上に、消化管からの吸収率は50%以上であるため、普通の食事をしていれば問題なく必要量を摂取することができます。
逆に、セレンは摂取しすぎると中毒になるため、セレンを多くとろうとするのは危険です。
セレンを慢性的に過剰摂取すると、爪の変形や脱毛、胃腸障害、下痢、疲労感、焦燥感、末梢神経障害、皮膚症状などがみられます。
セレンをグラム単位で摂取すると、重症の胃腸障害、神経障害、心筋梗塞、急性の呼吸困難、腎不全などを引き起こします。
モリブデン(Mo)
鉄の効果を高めるため、貧血気味の方には欠かせないミネラルです。
毒性のある食品保存料である亜硝酸塩を解毒する効果があると言われています。
1日に必要とされる摂取量は、
- 20代男性: 25μg
- 20代女性: 20μg
です。しかし、普通の食事をしていれば、特に意識しなくてもすぐにこの量を摂取することになります。
モリブデンは簡単に過剰症が起きるため摂取上限が定められています。
- 20代男性: 〜550μg
- 20代女性: 〜450μg
とりすぎると体内の銅が排出されてしまうため注意が必要です。
特に大豆など豆類に多く含まれるため、豆の食べ過ぎに注意する必要があるかもしれません。
マンガン(Mn)
骨の石灰化や性ホルモン合成に関わるミネラルです。糖、脂質、たんぱく質の代謝にも関わります。
1日の摂取量は20代男性で4mg〜11mgです。
マンガンは様々な食品に含まれているため不足しにくいと言われています。
例えば、大豆100gに含まれるマンガンは4.32mgです。
小麦100gあたりでは4.02mg、バナナ100gでも1.31mgが含まれています。(文科省の食品データベースより)
1日三食の生活をしていれば問題なく摂取できる量と言えます。
クロム(Cr)
膵臓から分泌されるインスリンの働きを助けるミネラルです。クロムがなければブドウ糖を筋肉や肝臓に取り込むことができなくなります。
クロムの1日に必要とされる摂取量は、20代男性で40μg、20代女性で30μgです。
精白米100gに16μgのクロムが含まれますので、ご飯2杯食べれば必要量は摂取できることになります。
お菓子でも、ミルクチョコレートはミネラルが豊富で100gあたり24μgのクロムが含まれます。
ミルクチョコレート – カロリー計算/栄養成分 | カロリーSlism
ナイアシン
ニコチン酸とも呼ばれるビタミンのひとつです。かつてはビタミンB3と呼ばれていました。
中性脂肪やLDLの減少効果が認められており、動脈硬化や高脂血症の改善に関わります。
ナイアシンはトリプトファンというアミノ酸からも合成されます。そして、このトリプトファンはたんぱく質に1%程度含まれています。
たんぱく質を1日100g摂取すればトリプトファンを1g(約17mgのニコチン酸に変換される量)摂取したことになるので、不足の心配はありません。
パントテン酸
ビタミンのひとつです。ビタミンB群に属します。
パントテン酸は以下のような様々な働きをします。
- コエンザイムA(脂肪やたんぱく質の代謝に関わる補酵素)を構成
- コレステロール管理(HDLの生成及びLDLの回収)
- 副腎皮質ホルモンの生成
摂取量は成人であれば5mgが目安です。
鶏卵100gに4.3mg、鶏胸肉100gに2.5mgなど、様々な主食に含まれているので特に意識する必要なく摂取できるはずです。
ビタミンK
血液を固まりやすくする効果があるビタミンです。出血時に傷をふさぐ時に必要となります。
血栓ができないようにする抗凝固薬はこのビタミンKの働きを阻害します。
ビタミンKは、乳幼児には重要なビタミンですが、生後1年が経過すると腸内細菌によって合成されはじめるため、大人はほとんど不足することがないと言われています。
大人の摂取量は体重1kgあたり1μgです。
おしまい
栄養素に関しては以下の書籍がとても勉強になります。ビタミンが発見された歴史からその働きまで詳しく記載されています。