カフェインの化学的性質と人体に与える効果

最終更新日時 : 2017年12月7日
コーヒー豆とコーヒー

最近コーヒーを飲むことが増えたので、コーヒーに含まれているカフェインについて調べてみました。

カフェインの物質的な特性や作用について紹介します。

カフェインそのものについて

カフェインの化学構造

化学式は C8H10N4O2 で、その構造は以下のようになっています。

カフェインの化学構造

カフェインの特徴

カフェインはアルカロイドの仲間

アルカロイドは生物によって作られる化学物質で、様々な薬理作用を持っています。アルカロイドは英語で「アルカリのようなもの」という意味です。

アルカロイドは、厳密には窒素(N元素)を含む有機化合物と言われますが、詳しい話は省略します。

人間社会においては医療用の薬や娯楽目的の薬物(ヤク)に使われる物質です。

カフェインの他に有名なアルカロイドには以下のようなものがあります。

  • コカイン(麻酔、薬物)
  • モルヒネ(鎮痛剤、薬物ヘロインの元)
  • ソラニン(ジャガイモの皮や芽に含まれる毒)
  • ニコチン(タバコに含まれる神経毒)
  • トマチン(トマトの花や葉に含まれる毒。熟したトマトにはほとんどない)

作っている生物以外の生き物にとっては有毒なものが多いです。どうやら、他の生物に食べられないよう防衛用に生成しているようです。

トマチンとソラニンは共に多量摂取するとヒトに毒性がありますが、最近、トマチンは昆虫の嫌いな(忌避)成分であることがわかり、植物は虫に食べられないようにするためにトマチンを合成しているようです(高知大・農・堀池博士)。
トマチン | みんなのひろば | 日本植物生理学会

また、カフェインはプリン骨格を持つため、プリン体の一つでもあります。

カフェインは苦い

カフェインはコーヒーの苦味物質のひとつです。しかし、カフェインの苦味はコーヒー全体の10〜30%程度であり、カフェイン以外の成分による苦味の方が強いと言われています。

かつてはコーヒーの苦味はカフェインによるものだと信じられていました。しかし、コーヒーの苦味は焙煎に伴って強くなっていくのに対して、カフェインの量は変化しないことから疑問視されるようになり、さらにカフェインレスコーヒーが発明されると、カフェインを除去したコーヒーも十分に苦いことが判明して、カフェイン以外の苦味物質の方が重要なことが明ら
かになりました。その後の研究から、コーヒーの苦味全体の1~3割をカフェインが担っていると考えられています。
【コーヒーの科学】本物の美味、わかるようになるには?|今日のおすすめ|講談社BOOK倶楽部

カフェインの興奮作用・利尿作用

カフェインはキサンチンのメチル誘導体キサンチン類)のひとつでもあります。

キサンチン誘導体

カフェイン,テオフィリン,テオブロミンがあり,コーヒーや茶のなかに含まれる。薬理作用としては

中枢興奮作用,
骨格筋興奮作用 (カフェイン>テオフィリン>テオブロミンの順で強い),
平滑筋弛緩作用,
心筋興奮作用,
利尿作用 (テオフィリン>テオブロミン>カフェイン)
がある。
キサンチン誘導体(キサンチンゆうどうたい)とは – コトバンク

キサンチン類の特性は以下の表のようになっています。

カフェイン テオフィリン テオブロミン
中枢興奮作用 ★★★ ★☆☆ ★☆☆
利尿作用 ★★★ ★★★ ★★★
強心作用 ★☆☆ ★★☆ ★★☆

参考: 名城大学 薬学部 カフェイン,無水カフェイン,安息香酸ナトリウムカフェイン(安ナカ)

コーヒーの有名な作用としては覚醒(目が醒める)作用があります。

カフェインはアデノシン受容体という、本来アデノシンが結合する受容体に結合することで作用が現れます。正確には、カフェインはアデノシン受容体に結合して、アデノシンが結合できないように妨害します。

アデノシン受容体にアデノシンが結合することで、ドーパミンによる興奮や覚醒を抑えます。しかし、カフェインがアデノシンの結合を妨害することで興奮や覚醒を継続させることになります。

カフェインはアデノシンの塩基の部分と化学構造が似ているため、アデノシン受容体に結合することができます。

カフェインの化学構造がアデノシンとよく似ているため、カフェインを取ることでアデノシンの働きが阻害されてしまう。その結果、コーヒーを飲むことで覚醒作用が高まり、気持ちがスッとして集中力が高まることになるのです。
タンパク質はすごい! ~心と体の健康をつくるタンパク質の秘密 (知りたい! サイエンス)

カフェインが体の中に入ると、一時的に腎臓の血管を広げ、脳の血管を収縮させます

カフェインが血管拡張(腎臓)と血管収縮(脳)という作用を同時に示すことのできる理由は、相反する挙動(AC↓とAC↑)を示すA1とA2Aに同時に作用し、かつ、それら受容体の分布密度が臓器により異なるために起こると考えられる。
カフェインの薬剤に与える影響

カフェインが体から抜けると、脳の血管収縮が元に戻り、頭の血流が増えます。このため、カフェインが抜けた時に頭痛を感じる人もいます

カフェインを含む食品

  • コーヒー
  • ココア
  • 紅茶、緑茶、マテ茶
  • コーラの実
  • ガラナの実

Caffeine occurs naturally in coffee, tea, cocoa, mate (Ilex paraguarensis), kola nuts and a variety of other plants.
Tea and caffeine

カフェインの含有量は、コーヒーよりも茶類のほうが多いです。しかし、茶にはタンニンというポリフェノールの一種が含まれており、これがカフェインの吸収を抑えます。したがって、コーヒーの方が体に取り込まれるカフェインの量が多くなります。

カフェインの効果は摂取する濃度によって違いますし、またその摂取の仕方によっても違います。
たとえば、カフェインの含有量はお茶の方が多いのですが、緑茶、紅茶にはタンニンという成分があり、それがカフェインの吸収を押さえています。
「生とは何か」を追い求めて 生命環境系 桑山秀一研究室

カフェイン中毒について

主な症状は頭痛、利尿作用による脱水、動悸などです。

For most people, the amount of caffeine in two to four cups of coffee a day is not harmful. However, too much caffeine can cause problems.
It can

・Make you jittery and shaky

・Make it hard to fall asleep or stay asleep

・Cause headaches or dizziness

・Make your heart beat faster or cause abnormal heart rhythms

・Cause dehydration

Make you dependent on it so you need to take more of it. If you stop using caffeine, you could get withdrawal symptoms.
Caffeine: MedlinePlus

[日本語訳]
たいていの人にとっては、1日2〜4杯のコーヒーは無害である。しかし、カフェインの取りすぎは次のような問題を起こす可能性がある。
・イライラしたり震えたりする
・眠りにつきにくくなる、眠っている状態が続きにくくなる
・頭痛やめまいがする
・動悸が早くなったり不安定になったりする
・脱水症状が起きる
依存症になるともっとそれが必要になってしまう。カフェインを摂るのをやめれば症状は治まっていくだろう。

カフェインの取りすぎによって低カリウム血症が起きた例が報告されています。

カフェイン含有の清涼飲料水を連日多量摂取することで、症候性の低カリウム血症を起こしたとする症例報告が多数あり、特にコーラの連日多飲の報告が目立ちます。
Blogger版 地域医療の見え方: カフェインを含む清涼飲料水の連日多量摂取と電解質異常

緑茶抽出物飲料の過剰摂取により低カリウム血性ミオパチーをきたした1例

カフェイン以外のキサンチン類にも中毒症状があり、震え、吐き気、いら立ち、頻拍や不整脈などが起こるようです。

カフェインの大量摂取は細胞死を引き起こす

筑波大学の研究によると、カフェインが細胞の死を引き起こす仕組みが判明したそうです。

過剰なカフェインは身体に様々な中毒症状をもたらし、時には死に至ることも知られているが、その分子メカニズムは不明点だった。

今回の研究では、モデル生物、細胞性粘菌とヒトの培養細胞を用いて、過剰のカフェインが細胞死をもたらす機構において、哺乳類では重要かつ多様な生理活性物質であるプロスタグランジンの前駆物質であるアラキドン酸が、アポトーシス(プログラム細胞死)とは別の経路での細胞死を促進していることを明らかにしました。カフェインには抗がん剤の作用を増強する活性もあることから、今回の研究成果がカフェインやカフェイン類似物質による抗がん剤の効果や特異性の増強に大きく寄与することが期待されます。
過度のカフェイン服用が細胞死を引き起こす仕組みを発見

カフェインの摂取は様々な細胞を死に至らしめる危険があります。

一方、詳しいメカニズムは不明なものの、カフェインは抗がん剤の効果を向上させる働きがあることがわかっており、カフェインの細胞死をもたらす機構をがん細胞だけに働かせることができれば、強力ながんの治療薬として応用できると期待されています。

1日3〜4杯のコーヒーに病気の予防効果

大量摂取は危険ですが、適量のカフェインは健康によい効果があるみたいです。

国立がん研究センターを中心にしたグループが今年5月に発表した研究です。全国の約9万人をおよそ19年間にわたって追跡した結果、コーヒーを毎日飲む人は、心臓病や脳卒中などの死亡率が低い傾向があることが分かりました。

▼死亡率が最も下がったのは、1日3-4杯飲む人たちでした。

▼1日5杯以上飲む人では死亡率がわずかに高い傾向がありました。ただし1日5杯以上飲む人はそもそも数が少なく、どのような影響があるか確かなことは言えません。

▼国立がんセンターの研究グループは、別の研究の中で、緑茶でも同様の死亡率の低下がみられることを示しています。いま緑茶を飲んでいる方があえてコーヒーを飲み始めたり、嫌いな方が無
理して飲み始めたりする必要はありません。
魔法飲料!コーヒー祭り – NHK ガッテン!

先ほど、抗がん剤の作用を向上させることを紹介しましたが、他にも肝臓がんなどの特定のがんを予防する効果が証明されています。

かつて、コーヒーは膵臓がんなどを増やすといわれていましたが、現在、肝臓がんなどに対して予防効果を持つことが確実視されています。…
厚生労働省の研究班のまとめでも、コーヒーは、肝臓がんを「ほぼ確実に」予防し、大腸がんを予防する「可能性あり」と位置づけられています。コーヒーの有効性は次第に定説になりつつあります。
中央公論新社 中川恵一 知れば怖くない 本当のがんの話 (2017/1/15)

無水カフェインとは

栄養ドリンクに含まれるカフェインは、成分表を見ると「無水カフェイン」と書かれていることがあります。

カフェインの結晶は、一水和物と呼ばれる水分子を含むもの(C8H10N4O2・H2O)と含まないもの(C8H10N4O2)があり、この水を含まない方の結晶を無水カフェインと呼んでいます。

構造的な違いを強調しただけであり、実際に飲み物に溶けてしまえば、効果としては全く同じです。

おしまい

カフェインは適量とれば心臓病脳卒中などの血管が詰まるタイプの病気の予防になるみたいですね。

平たく言ってしまえば、カフェインも薬物の仲間なんですね。神経興奮作用があって眠気もスッキリ?

ガラナの実には、コーヒーの実の3倍のカフェインが含まれるそうです。

そのガラナの実を使った飲み物が「キリン 北海道ガラナ」です。炭酸&カフェインで眠気もスッキリです。

ガラナ1本(500mlペットボトル)に45mlのカフェインが含まれています。

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