ミックスナッツに入っているアーモンドの栄養と健康効果についてです。
アーモンドの栄養成分
アーモンド100gあたりの注目すべき成分をまとめました。
1日の推奨摂取量は18~29歳の男性のものです。
栄養成分 | 量 | 1日の推奨摂取量 |
---|---|---|
カリウム | 760mg | 2500mg |
カルシウム | 250mg | 800mg |
マグネシウム | 290mg | 340mg |
リン | 460mg | 1000mg |
鉄 | 3.6mg | 7mg |
亜鉛 | 3.6mg | 10mg |
銅 | 1.17mg | 0.9mg |
α-トコフェロール(ビタミンE) | 30.3mg | 6.5mg |
n-6系脂肪酸(リノール酸) | 12g | 11g |
飽和脂肪酸(パルミチン酸) | 3200mg | – |
コレステロール | 0 | – |
三大栄養素 | 日本人の食事摂取基準(2015年版)より | 栄養成分ナビ
アーモンドは一粒 1.0~1.2g ですので、もし1日10粒食べたとすれば、上記の表の10分の1の栄養を摂取することができます。
(上記の表の通りの栄養を取るには100粒食べる必要があります)
アーモンドの健康効果
アーモンドに含まれる栄養素による健康効果についてです。
ビタミンEが豊富
α-トコフェロールと呼ばれる、最もビタミンEとして利用されやすい栄養素を多く含んでいます。
ビタミンEは高い抗酸化作用があり、体内の脂質(細胞膜や血液中のLDLコレステロール)を酸化する活性酸素種を除去する働きによって、動脈硬化などを防ぐ働きがあります。
20粒食べると、1日のビタミンE摂取量をクリアできます。
ミネラルが豊富
体に必要なミネラル(金属元素)が豊富に含まれています。
特にマグネシウムや銅は、少し食べれば一食分を補えるほど含まれているようです。
アーモンドの注意点
パルミチン酸が多い
パルミチン酸とは、ラードなどに多く含まれる飽和脂肪酸のひとつです。
飽和脂肪酸というのは、主に動物の肉や果肉から取れる固形の脂(脂肪)です。
パルミチン酸は体に必要な飽和脂肪酸の一つですが、過剰に摂取するとコレステロール値が上昇して動脈硬化等の原因になります。
国立大学法人 熊本大学 飽食・肥満による糖尿病発症のメカニズムを解明 ~メタボリック症候群の病態進展阻止への手掛かり~
2014年に書かれた記事によると、イリノイ大学によるラットの心臓にパルミチン酸とオレイン酸を送り込む実験では、パルミチン酸では心臓機能の悪化が、オレイン酸ではすぐに改善が見られたと発表しています。
To make their findings published in the journal ‘Circulation’, researchers analysed how rats hearts responded to oleate or aplmitate, the fat found in animal fats and dairy products.
When oleate was pumped through a failing heart, scientists saw an “immediate” improvement in how the heart contracted and pumped blood, Dr Lewandowski explained.
Olive oil could help to reverse heart failure, scientists claim | The Independent
[日本語訳] 彼ら(イリノイ大学の研究者)の発見を雑誌 "Circulation" で発表するために、研究者はラットの心臓がどのようにオレイン酸とパルミチン酸(動物性の脂肪や乳製品に含まれる脂)に反応するかを分析した。 オレイン酸が損傷を受けた心臓に注入されると、すぐに心筋収縮と血液を送り出す機能に改善が見られたとレヴァンドフスキ博士は説明している。
2010年には、パルミチン酸の動脈硬化に関しては、次のように、オレイン酸ほどではないにしろ動脈硬化改善に効果があると発表されていました。
According to a Korean study published in a 2010 edition of the “Journal of Medicinal Food,” palmitic acid does display antioxidant properties and can help prevent atherosclerosis in rats, but it is not as effective as oleic acid.
Palmitic Acid Health Benefits | LIVESTRONG.COM
[日本語訳] 韓国の研究で2010年に出版された “Journal of Medicinal Food,” によれば、パルミチン酸はラットの動脈硬化を防ぐ抗酸化作用を示したが、その効果はオレイン酸ほどではないとのことである。
パルミチン酸には良い効果もありますが、アーモンドの食べ過ぎには注意した方が良さそうですね。
リノール酸も多い
また、アーモンドにはリノール酸も多く含まれています。
リノール酸は体内で合成できないので、食品から摂取する必要のある脂肪酸(必須脂肪酸)です。
しかし、リノール酸はn-6系脂肪酸であり、過剰摂取が問題視されている脂肪酸です。
リノール酸やアラキドン酸などの n-6 系は多くの生理活性の強いホルモン様物質であるエイコサノイドの前駆体となるため、炎症や血栓形成を促進する。
これまでの研究で、多価不飽和脂肪酸の n-6 系/n-3 系脂肪酸の比率が鍵となり、n-6系脂肪酸の過剰摂取が動脈硬化、血栓性疾患、炎症性疾患やアレルギー性疾患に対して促進的に働き、n-3 系脂肪酸が抑制的に作用することが明らかとなっていた。
多価不飽和脂肪酸による肥満予防に関する基礎的研究
エイコサノイドという炎症を引き起こす物質を生み出すきっかけになってしまうため、摂りすぎによる副作用が報告されているようです。
リノール酸の大量摂取は善玉コレステロールをも低下させること、リノール酸の代謝物であるアラキドン酸が炎症を引き起こすエイコサノイドを産生し、がんを発生に結びつく可能性があるという観察や動物実験結果が登場し、リノール酸の評価を低下させることとなりました。
現在では、リノール酸について次のように評価されています。・必須脂肪酸である
・コレステロール低下作用が強いが、大量摂取の場合にはHDLをも低下させる
・大量に摂取すると炎症、がん発症の要因になる懸念がある・摂取不足による皮膚障害
植物油と栄養|一般社団法人 日本植物油協会
善玉コレステロールも一緒に下げてしまうみたいです。
おしまい
アーモンドは栄養も豊富ですが、過剰摂取が危険視されている脂肪酸も多く含むため、食べ過ぎには注意が必要です。
なかなか都合よく健康になれる食品は見つからないものですね。やはりバランスが大事ということみたいです。
アーモンドは朝や間食のちょっと栄養補給に良さそうです。
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