無線LANルーターのwifiのID内にある「g」「a」「gw」「aw」の意味

最終更新日時 : 2017年7月29日
無線LAN wifi

無線でインターネットに接続するには、ネットワーク回線と無線LANルーターをつなぎ、ルーターに設定されたSSID(wifiのID)を指定します。

SSIDは Service Set Identifier(サービス・セット・アイデンティファイア) といい、無線LANにおけるアクセスポイントを識別するための固有の名前です。ルーターの裏側などに書かれています。

知らずに低速な無線に接続しているかも

このSSIDですが、ひとつの無線LANルーターに複数の種類がある場合があります。

「○○-a」「○○-g」「○○-gw」などの同じ名前なのに最後のアルファベットが違うものです。

PCで接続可能なSSIDの一覧を見ると、実際にいろいろな種類のSSIDがあることがわかります(一部塗りつぶしています)

wifiのSSID一覧

今までは「とりあえずつながればいいや」と、特に気にせず適当にSSIDを選んでしまっていたことがありましたが、今回ちゃんと調べてみることにしました。

「a」とか「g」とかは何?

「a」や「g」などは通信規格を識別するための名前で、正式には以下のように表記します。

  • IEEE802.11a
  • IEEE802.11g

なので「11a」「11g」と書かれたりもします。特徴を以下の表にまとめます。

11a 11g
良い点 通信速度が速い 対応機器が多い
悪い点 電波が物に遮られる 他の機器の電波干渉を受ける
利用周波数帯 5GHz(5.2GHz)帯 2.4GHz帯

これらの特徴は、それぞれの規格が利用している周波数帯と深い関わりがあります。周波数帯についてはこの後詳しく書きます。

参考: 無線LAN規格の違い | IODATA アイ・オー・データ機器

周波数「2.4GHz帯」と「5GHz帯」の違い

規格「IEEE802.11a」では5GHz帯しか使えません。逆に、従来から使われている無線LANの種類である「IEEE802.11g」では2.4GHz帯を使うことしかできません。

それぞれの周波数帯ごとの特徴を次の表にまとめます。

2.4GHz帯 5GHz帯
良い点 遮蔽物に強く遠くまで電波が届く 安定した通信ができる
悪い点 他の機器との電波干渉で接続が乱れる 別の部屋などで繋がらない場合あり

参考: 無線LANの標準規格が「IEEE802.11」 これからの主流は「11ac」 – 日経トレンディネット

電波干渉」とは、他の電子機器が発する電波によって、正しく情報が伝わらなくなる現象です。

2.4GHz帯は使用する機器が多く、電子レンジを使っている間は通信がおかしくなるといった報告もあります。

実際筆者の家でのことだが、電子レンジを使うととたんにワイヤレスマウスの動作がおかしくなる。ワイヤレスマウスも2.4GHz帯を使っているため影響を受けているのである。
ASCII.jp:Aterm WR8700N──速度で選ぶブロードバンドルータ (2/7)|新生活に選ぶこの製品、このサービス

一般的に、周波数が高い電波は遮蔽物や距離に弱いみたいです。

受信強度としては2.4GHzのほうがやや強いという結果だった。周波数が高いほど電波の減衰も大きくなるということを思い出させる結果となった。
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簡単にまとめると、

「11a」は速いけれど壁などがあると通信が届かない場合がある

「11g」は色々な機器が対応しているけれど他の機器の電波によって速度が落ちる

ということになります。

WifiのIDにおける「a」と「aw」「g」と「gw」の違い

さて、「a」「g」についてお話ししてきました。

今までの説明だけでは「じゃあ『a』を選べば『IEEE802.11a』を使うことになるんだ」と考えてしまう思います。しかし、実はルータの表記と実際の規格が完全に一致しているわけではないようです。

このことを理解していただく為に、もう一つ規格を紹介します。

最新規格「n」

現在主流となっている規格が「IEEE802.11n」です。

「11n」は2009年に策定された最新の規格で、理論速度 600Mbps で、2.4GHz帯と5GHz帯どちらも利用出来るという画期的な規格です。

なぜ「n」は高速通信ができるかというと、複数経路でデータを同時転送できるからです。この経路を「ストリーム」と呼びます。

下記サイトに詳しい表が乗っています。

www.iodata.jp

「aw」「gw」は古い規格!

実は、WifiのIDの名前と規格の対応は以下のようになっています。

WifiのID名 規格 周波数帯 最大速度(Mbps)
○○-a IEEE802.11n 5GHz帯 600Mbps
○○-aw IEEE802.11a 5GHz帯 54Mbps
○○-g IEEE802.11n 2.4GHz帯 600Mbps
○○-gw IEEE802.11g 2.4GHz帯 54Mbps

つまり、「○○-a」「○○-g」が最新の規格「11n」を使用した通信で、こちらを使うべきということになります。「a」「g」とIDに書かれているものの、実際は規格が「n」で周波数帯が違うだけというわけです。紛らわしいので注意が必要です。

「b」について

「b」は古い規格です。「g」と互換性があるものの、通信速度は低速(11Mbps)です。

規格による通信速度を実際に調べてみた

手元の「Aterm BL900HW」で調べてみました。一部黒で塗りつぶしています。

Aterm Support Information | BL900HW | トップページ

○○-a

IEEE802.11nの5GHz帯のSSIDの通信速度

○○-g

IEEE802.11nの2.4GHz帯のSSIDの通信速度

「○○-a」の方が高速で、規格はどちらも「11n」であることが確認できます。

無線ルータのスイッチを切って入れると接続が回復する?

無線ルーターは、電源を入れた時に周囲の無線LAN通信状態を確認して、電波状態の良いチャンネルを自動的に選びます。そのため、電源を切って入れると通信が回復したり、速度が速くなる場合があります

参考: 回線速度向上編 | もっとインターネットを楽しもう!安心・安全・快適サポートBOOKS | コミュファ光

最新の規格

IEEE802.11ac

2013年から使えるようになった無線LAN規格です。

使用周波数帯域は11nと同じく、2.4G帯または5GHz帯ですが、その通信速度が大幅に向上しています。

実際にこの規格を使用したルーター製品は、理論値1Gbps(1000Mbps)以上の通信速度を持つものがあります。(実測値は落ちます)

例えば以下の製品です。

BUFFALO 【iPhone6対応】 11ac/n/a/g/b 無線LAN親機(Wi-Fiルーター) エアステーション QRsetup ハイパワー ビームフォーミング対応 866+300Mbps WHR-1166DHP3 (利用推奨環境3人・3LDK・2階建)

規格ごとの通信速度の実測値を見てみると、以下のようになっています。

転送速度:866Mbps(11ac)、300Mbps(11n)、54Mbps(11a、11g)、11Mbps(11b)

この規格の理論的な最大速度は6.9Gbpsと桁違いな通信速度となっています。これからさらに通信速度の速い製品が出て来る可能性があると言えます。

IEEE802.11ad

まだ一般製品になっていない最新の無線LAN規格であり、理論的には6.7Gbpsで通信可能な規格です。

使用する周波数帯域が従来の規格とは違い、60GHzというミリ波を使用します。

このため、今までの規格の無線LAN機器と電波干渉がなく安定した通信ができると予想されます。反面、電波の直進性が高く、通信距離がかなり短くなります。

また、その電波は今までの機器では受信できないため、専用の子機が必要となると言われています。

しかし、ただインターネットを利用するためだけにしては大げさすぎる規格ですあり、上記の11acで十分である場合が多いため、ごく限定された用途での利用になる可能性があります。

今年ブレイク? 超高速無線規格「IEEE802.11ad」 – スマホの通信はどう変わるのか

おしまい

配置している物の状況や、他の電子機器の有無などによって使い分けると、Wifiの接続状態が良くなるかもしれません。

通信帯域の特徴を考えると、普段は一番速い「a」を使い、物が間にあって通信が切れる場合は「g」を使うという使い方になると思います。

その他の参考文献

IEEE802.11nとは

ASCII.jp:IEEE802.11nはどうして一気に300Mbpsの速度になったの? (2/4)|今が買い時! IEEE802.11n対応無線LAN機器

無線LANはもう恐くない! イチから始める無線LANキソのキソ第5回:MIMO、11n、デュアルチャネル……まだまだ進化する無線LAN

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