三大激痛の1つと言われる、腎臓にできる石である「尿路結石」についてと、その対策です。
「最新版 結石の原因と予防」より
http://www.nhk.or.jp/podcasts/
尿路とは
この病気が起きる尿路とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道の4つの総称です。
名前 | 機能 | 分類 |
---|---|---|
腎臓 | 尿を作る | 上部 |
尿管 | 尿を膀胱に運ぶ | 上部 |
膀胱 | 尿を溜める | 下部 |
尿道 | 尿を排出する | 下部 |
尿管の太さは 5mm〜1cm です。
尿路結石はどんな病気?
尿路結石は、腎臓でできる石(結石)が尿路のどこかに詰まってしまい、尿の流れが悪くなることで起こる病気です。
腎臓または尿管に石が詰まってしまう症状は上部尿路結石、膀胱と尿道に詰まってしまう症状を下部尿路結石と言います。
95%が上部尿路結石であるそうで、普通「尿路結石」というとこちらを指します。
症状名 | 関係する部位 | 割合(%) |
---|---|---|
上部尿路結石 | 腎臓・尿管 | 95 |
下部尿路結石 | 膀胱・尿道 | 5 |
石の成分は?
石の原因は5つあります。
80%以上がカルシウムと何かの結合物です。それぞれ詳しく見ていきます。
1. シュウ酸カルシウム結石
原因
- コレステロールの取り過ぎ
- シュウ酸の取り過ぎ
- カルシウム不足
詳細
尿路結石のほとんどがこれです。
シュウ酸とは食品の苦味の原因になっている物質です。
例えば、以下のような食品に多く含まれています。
- 葉菜類の野菜
- タケノコ
- コーヒー・紅茶・お茶(とくに玉露・抹茶)
- バナナ
- チョコレート
- ココア
- ピーナッツ
- アーモンド
普通は腸内でシュウ酸とカルシウムが結合して便として排出されます。
しかし、コレステロールをたくさん取ると、コレステロールがシュウ酸よりも先にカルシウムと結合してしまいます。
余ったシュウ酸は腎臓に行きます。少しなら腎臓でも尿として排出されます。この尿中に排泄されるシュウ酸の10〜15%が食事由来と言われます。
余ったシュウ酸が多くなると、シュウ酸は毒性があるので、腎臓はシュウ酸を一気に出そうとします。
この時、マクロファージ(体の掃除屋さん / 白血球の1種)がオステオポンチンという物質を出します。
オステオポンチンが腎臓内のカルシウムと結合し、それにシュウ酸がくっついて石になるそうです。
シュウ酸は腸内でカルシウムと結合し、便となって体外に排出されます。しかし、脂身の多い肉などの食事は、シュウ酸の量を増やします。排出しきれなかったシュウ酸は、尿中でカルシウムと結合し、オステオポンチンの働きで溶けにくい結石となります。このオステオポンチンは、コレステロールの多い食事で増加します。
近畿大学 保健管理センター 尿路結石
2. リン酸カルシウム結石
原因
- 体の異常
詳細
リン酸カルシウムが原因なことはまれで、何かしら体に異常がある場合でなければリン酸が原因にはなることはないそうです。
3. 尿酸結石
原因
プリン体を多く含む食品などが原因になる結石です。
詳細
以下の食品に注意です。
- ビール
- レバー
尿酸が原因であれば薬で溶かせる可能性があります。
4. リン酸マグネシウムアンモニウム結石
原因
感染
詳細
現在ではほとんど起きないそうです。
5. シスチン結石
原因
尿細管の遺伝的な異常
詳細
子どものうちは結石ができませんが、このシスチン結石だけはできる可能性があります。
痛みの原因は?
腎杯という腎臓の部屋の中にある時は痛みはないそうです。この時の結石をサイレントストーンと言います。ただ、この場合でも放っておくと血尿、腎炎になる可能性があります。
腎臓の出口にあり、感染を起こすと痛みや熱が出るなどの症状が出ます。
そして尿管に石が降りてきた場合、尿が流れなくなり腎臓の内圧上昇や尿が溜まることで激痛が発生します。
最近尿路結石になる人が急増中!
30年前の3倍になっているそうです!
男性では7人に1人が、女性では12人に1人が、一生に一度なると言われています。30〜40歳の男性に特に多いそうです。
原因は欧米型の食生活が浸透してコレステロール摂取量が多くなったからと言われています。
予防するには
コレステロールが多い食事を控える
コレステロールに注意。全てのコレステロールが悪い訳ではないですが、摂りすぎるのは問題です。
カルシウムをたくさん取る!
シュウ酸を含む食品を食べる時に注意すべきことは、カルシウムをたくさん取ることだそうです。カルシウムをたくさん取るとシュウ酸と結合して便として出てくれるそうです。
「シュウ酸カルシウムはカルシウムでできているから、カルシウムを摂らない方がいいんじゃない?」
と思われるかもしれません(筆者も思っていました)が、それは
だと「最新版 結石の原因と予防」で仰っています。
むしろ、たくさんカルシウムを摂取すれば、コレステロールと結合するのを防げるので良いそうです。
古くはカルシウムの摂取制限がカルシウム結石の形成を減少させると考えられていましたが、今では腸管内のカルシウムの減少はそれに結合するシュウ酸の減少につながり、吸収されるフリーなシュウ酸が増加することにより結石形成のリスクは増加すると考えられています。
食事療法「尿路結石症」 | 医療・栄養情報 | 大阪府栄養士会
抗酸化物質を取る
腎臓の組織が壊れるのを防いでくれるそうです。
- お茶(カテキン)
- 野菜全般(βカロテンなど)
種類によっては野菜やお茶にシュウ酸が含まれるので、カルシウムも一緒に取るのが望ましいです。
紅茶であればミルクティーにするのがオススメです。
こまめに水分を補給する
牛乳や水などをこまめに飲むことが大事みたいです。
水分補給とは言え、飲み物によっては逆に尿路結石ができるのを促進するものもあるので注意が必要です。
例えばコーラなどの炭酸飲料は結石を出来やすくするという研究結果があります。
Soda and Other Beverages and the Risk of Kidney StonesというタイトルでClinical Journal of the American Society of Nephrologyに掲載されています。(CJASN August 07, 2013 8): (8) 1389-1395
この論文によりますと・腎結石の発生リスクは飲み物によって違いがあった
・コーラやソーダなどの糖を加えた炭酸飲料は結石のリスクを高めていた
・コーラを一日一杯以上飲む人は飲まない人と比較して腎結石のリスクが23%上昇
・コーヒーや紅茶は結石のリスクの低下と関連していたということでした。
この調査は19万4095人のデータを8年間フォローアップしたもので、かなり大がかりで調査対象も多いので信用に値する研究と判断してもいいと考えます。
腎結石の患者さん,今まで間違った指導をしてきてごめんなさい | 五本木クリニック | 院長ブログ
また、実は食事にはかなりの水分が含まれています。したがって、ダイエットなどで食事を抜いたりすると、普段より飲み物を飲まなければ水分不足となり結石が出来る可能性が高まるそうです。
実際に断食ダイエットをしていて結石になったと書いている方がいました。
ところが、重大な副作用が生じた.真の目標体重68kgに達するべく、2003年11月からまた一日1食を始めたのだが、12月になって、今まで経験した事のない激しい腹痛にみまわれた(詳しくは「近況」の2003年12月17日).尿路結石だったのだ.これは水分の不足でなるらしい.
たしかにダイエットをすると水分もとらなくなる.自分では500mlのペットボトルを空けて水分を補給した気になってたが、食事をすれば毎回それくらいの水分を補給できる.
それに、一度にどかっと食べるのも尿を濃くするのでよくないらしい.
その他
結石患者の多くが一日の食事量の半分近くが夕食に偏っている人と言われています。
特に夕食での動物性タンパク質の摂取量が多いのは注意が必要です。
結石は就寝中にできやすいので寝る4時間前までに夕食をすませる。夕食後に水分を多く取ることも大切になる。
【気になるこの症状】尿管結石 コーヒー、紅茶にはミルクを 夕食後は水分を多く取ることも大切 – 健康・医療 – ZAKZAK
石のできる速さは?
人によって違うみたいです。
摘出手術した人でも、すぐ反対側の腎臓にできるということもあります。
治療法
自然排出促進法
たくさん水分を取って排出する方法です。単純ですが一番確実とのこと。
方法は1日2L以上の水分をとるだけだそうです。
直径5mmくらいまでならほぼ出る(痛みはあるが)そうです。
尿管の痛みは普通の痛み止めでは防げないので頑張るしかないとのこと…
体外衝撃波
外部から力を加えて石を砕いて出す。
注意しなければいけないのは、この時の砕けた欠片を残さず出さないと、それが核になり、また結石になる可能性があることです。
自然排出促進法と併用する必要があります。
摘出手術
最悪腎臓に穴を開けて取り出すことになります。
おしまい
水分や牛乳をこまめに飲んで、シュウ酸を多く含む食品をさけるようにするのが予防として有効のようです。
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参考
尿路結石研究グループ|名古屋市立大学大学院 医学研究科 腎・泌尿器科学分野
ほうれん草の“シュウ酸”について : 食生活Q&A :料理家のレシピならミスビット
【気になるこの症状】尿管結石 コーヒー、紅茶にはミルクを 夕食後は水分を多く取ることも大切 – 健康・医療 – ZAKZAK
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