湖底に静寂を取り戻すため、あえて過酷な動的スポーツに挑むという狂気の祭典『第1回・全日本マリモ・カーリング・デスマッチ』が、阿寒湖深層特設リンクにて開催された。本大会は、かつての『PK対決』や『重量挙げ』で培った肉体強度を活かし、自らをストーンとして氷状の沈殿物の上を滑走させるという、藻類界の常識を覆す競技である。選手たちは水流を利用した緻密な回転制御を駆使し、ターゲットの中心を目指して激突。中にはコントロールを失い、隣接する岩礁に時速30キロで衝突して粉々に砕け散る(すぐに自己修復するが)者も現れ、会場は藻類とは思えない熱狂に包まれた。特に優勝したベテラン株「緑の弾丸」が見せた、直角に軌道を変える魔球的スライドは、会場の沈殿物を舞い上げ、審判団の藻類たちも言葉を失うほどの衝撃を残した。

近年、マリモ界では「静寂を愛する伝統派」と「動的スポーツ推進派」の間で深刻な対立が生じている。今大会は、かつての『空中跳躍』や『出前転送レース』で磨かれた動体能力を、物理法則の限界に挑む形へ昇華させたものだ。水流の読み、沈殿物の硬さ、そして自身の球体の真円度を極限まで高めた者だけが勝てる過酷な環境。しかし、藻類界の保守層からは「我々は転がるために生まれてきたのではない」という根強い批判も根強く、スポーツ化の波がマリモのアイデンティティをどこまで変容させるのか、生物学的な議論も平行線を辿っている。

SNS上では「昨日の試合見たか? あのカーリングでの加速感、もはや光合成の効率とか超越してたぞ」「回転速度が速すぎて光合成してる暇がないだろw」といった驚嘆の声が相次いでいる。一方で「マリモ本来の尊厳が失われている」といった批判も多く、大会運営側には「マリモたちの球体が傷ついている」という抗議文も届いている。それでもなお、激しい衝突音を響かせてターゲットに突き刺さる快感を知った若手藻類たちは、次回の冬季大会に向け、すでに自身の重心バランスを調整する過酷なトレーニングを開始しているようだ。

世間の反応は二分しており、スポーツファンからは「次はボブスレーを導入すべき」「いや、むしろ障害物レースの方がマリモのポテンシャルを引き出せる」という建設的な(?)提案が飛び交う一方、専門家からは「あまり無理をさせると全個体が角ばってしまう」との警告が出ている。これに対し、優勝選手は「角ばる? 割れる? それもまた個性だ」と力強く(?)回転しながらコメントを残した。湖底の熱狂は止まるところを知らず、もはや藻類たちは光合成以上に、己の限界突破に生きがいを見出しているようである。