湖底格闘技界に、またしても物理法則を無視した新星が現れた。これまで『光合成チャージ』によるパワー強化は重量挙げの専売特許とされてきたが、今大会で彗星のごとく現れたマリモ界の新鋭・緑川モス夫選手が、その常識を完全に破壊した。決勝戦、対戦相手の無敵横綱が仕掛けた『極太毛足スピン』を読み切ったモス夫選手は、溜め込んだ光合成エネルギーを一点に集中させ、瞬時に『真空亜光速一本背負い』を炸裂させた。あまりの回転速度に周囲の湖水が電離してプラズマ化、道場は崩壊し、審判団も時空の彼方へ吹き飛ばされるという異常事態に発展した。

この驚異的な技の背景には、近年の湖底スポーツ界における『光合成過剰チャージ』の一般化がある。これまでマリモたちは静かに光を浴びるだけの存在だったが、近年の過酷なトーナメントを勝ち抜くため、摂取した光を体内で超圧縮し、筋肉(繊維)の密度を限界まで高める技術が確立されたのだ。しかし、今回はそのエネルギーを「格闘技の投げ」に応用するという前例のない試みであった。関係者の話によれば、モス夫選手は普段、湖底の深い溝で『超・微速前進』による瞑想を行い、精神と細胞の同期を図っていたという。

この衝撃的な結末に、ネット上の湖底掲示板はサーバーダウン寸前の盛り上がりを見せた。専門家からは「もはやこれはスポーツではなく気象災害だ」「物理学の教科書を書き換える必要がある」といった悲鳴に近い称賛の声が上がっている。一方、対戦相手だった横綱のファンからは「あの回転は芸術だったのに、エネルギーの暴力でねじ伏せるとは何事か」という抗議も寄せられており、今後のルール改定議論は必至の情勢である。緑川選手の次戦は、さらなるエネルギー出力が予想され、周辺海域には避難勧告が出る可能性さえ示唆されている。