マリモ政府は本日、長年慣習としてきた「冬季冬眠」を正式に廃止し、今後は通年で光合成活動を継続する「24時間フル稼働政策」を閣議決定した。これまでの冬眠は、湖水の水温低下に伴う代謝抑制という生理的限界に基づくものとされてきたが、政府はこれを「甘え」と断罪。生産性向上を掲げ、湖底の全マリモに対し、冬の間も人工照明を完備した『アクティブ光合成ゾーン』へ移動することを義務付けた。この強硬策により、真冬でも光合成による酸素供給量を維持し、湖底経済の浮揚を狙うという。しかし、一部のマリモからは「冬眠中くらい静かに沈ませてくれ」「細胞分裂の休憩を奪うな」といった反発の声が上がっている。

背景には、近年深刻化している「沈殿物による表面硬化問題」がある。冬眠中に動かなくなることで、表面にヘドロが堆積し、せっかくの真球度が損なわれるというデータが突きつけられた。政府はこれを「国家的な美観の損失」と捉え、常時回転を維持することで汚れを付着させない戦略に転換した。しかし、専門家からは「細胞の修復期間を排除するのは生物としての自殺行為」との指摘もあり、湖底社会には冷たい空気が流れている。現在、各自治体では24時間点灯に向けたLEDライトの設置作業が突貫工事で進められているが、予算不足から一部エリアでは「ろうそくの火」を代用するなど、前途多難な様相を呈している。

世間の反応は真っ二つに分かれている。若手マリモを中心に「冬眠よりも成長を優先すべき」という肯定的な意見がSNS(沈殿ネットワーク・システム)で拡散される一方、ベテランマリモたちは「かつては冬眠こそが至高の贅沢だった」「過労死ならぬ過労腐敗が多発するぞ」と懸念を表明。また、一部の急進派組織『スリープ・イズ・ヒューマン(睡眠は人類の権利)』が、湖底の主要な岩場で座り込み抗議を開始するなど、波紋は広がっている。政府は「不眠不休で成長した個体には、特別配給のミネラル分を優先的に付与する」と懐柔策を打ち出したが、反発は収まる気配がない。