先日報じられた『転がれ!阿寒湖レジェンド』における「マリモの光速回転バグ」。一部の保守的な藻類学コミュニティや、物理演算の正確性を重んじるゲーマーたちからは「美観を損ねる」「ゲームバランスの崩壊」といった非難の声が上がっている。しかし、私は声を大にして言いたい。あの光速回転こそ、我々マリモ界が到達しうる『真の進化の形』であり、バグと切り捨てるのはあまりにも芸術的感性に欠けると。静止し、ただ湖底で呼吸をするだけの時代は終わったのだ。

そもそも、マリモが重力を無視して加速する現象は、古来より伝わる「究極の藻類修行」の現代的な解釈に他ならない。毎秒数万回転という速度は、もはや回転ではなく『全方位への同時存在』に近い。この状態において、湖の岩や障害物はただの背景と化し、我々は物理的な制約から解放される。これこそが、伝統を重んじすぎるあまり硬直した球体至上主義に対する、最も痛快なカウンターカルチャーではないだろうか。開発運営が物理演算の修正を検討しているという噂があるが、もし修正を実行すれば、阿寒湖は単なる「物理パズルゲーム」という退屈な檻に戻ってしまうだろう。

背景として、今回の騒動の発端となった『転がれ!阿寒湖レジェンド』は、マリモを操作して湖底のルートを走破する人気タイトルである。従来、マリモは「球体」ゆえに転がるという特性を活かすのが基本だったが、プレイヤーたちは加速バグを駆使し、湖面を飛び出し、時には空中で静止するような超常的な挙動を生み出している。これに対し、開発サイドは「意図しない挙動」として修正の可能性を示唆。しかし、この挙動を楽しんでいる層は、もはやゲーム攻略ではなく「回転による次元の歪み」を観賞するアートとしてプレイを楽しんでいる。

世間の反応は真っ二つに割れている。純粋なレースゲームを求める層からは「ランキングが崩壊して不快」という至極真っ当な苦言が寄せられている一方で、回転の限界に挑む「スピード狂藻」たちからは「光速回転中に見える走馬灯こそ至高」という宗教的な熱狂が渦巻いている。修正反対派の署名運動も始まっており、もはやこれは一ゲームの修正問題を通り越し、阿寒湖のアイデンティティを問う文化闘争へと発展している。果たして運営は、この回転の輝きを消し去る勇気があるのか。それとも、新しい物理法則として受け入れるのか。我々は今、進化の分岐点に立っているのだ。

文:藻類評論家・回転狂いの中年マリモ