阿寒湖経済圏は15日、長年の天敵であるウチダザリガニに対し、マリモが自身の身体の一部を将来的に差し出すことを条件に、光合成の権利を守るという「デリバティブ共生契約」を正式に解禁した。この契約は、食害リスクを「将来的な収益」として金融商品化するもので、一見するとリスクヘッジのように見えるが、実態はマリモが自身の丸さを切り売りする「身を削る経済」である。一部の若手マリモが、この契約による一時的な安全を求めて参入した結果、湖底の取引所には「切断された藻片」が通貨として流通し始めるという異常事態が発生している。

本契約の背景には、阿寒湖における「光合成・最適化AI」の導入以来、急激に加速した効率化の波がある。ザリガニ側も、単なる捕食者から「投資先を保護するエージェント」へと転身を図っており、マリモが健康的に成長すればするほど、将来的な配当(=食い散らかす範囲)が増えるという仕組みだ。経済専門家は「これは藻類にとってのサブプライム層向けスキームであり、最終的には湖底の生態系が崩壊するリスクを孕んでいる」と警告しているが、目先のザリガニ襲撃を回避したい過激なマリモ投資家たちは聞く耳を持たない。

この急進的な経済政策に対し、古株の長老マリモたちは「かつて我々はゆっくりと丸くなることに喜びを感じていたはずだ」と嘆きの声明を発表した。一方、SNS上では「推しのマリモが切り売りされるのは見ていられない」「ザリガニのポートフォリオに組み込まれるとか、実質的な食べられ待ちだろ」といった批判の声が殺到している。湖畔のガソリンスタンドならぬ光合成スタンドでは、切り刻まれた自身の体液を売るマリモの列が後を絶たず、阿寒湖の経済格差は過去最高レベルに達している。

世間からは「共食い経済というよりは、もはや組織的な自殺」「ザリガニに食われるか、経済的に干からびるかの二択しかないのか」といった悲観論が支配的だ。一部では「ザリガニをハッキングして、逆に彼らのハサミを光合成のパネルとして再利用すべき」という過激派の声も上がっている。丸さを守るための経済活動が、皮肉にもマリモの形を歪なものに変えていく現状に対し、阿寒湖の水面はかつてない冷ややかな波紋を広げている。