阿寒湖のマリモ政府が先月施行した『マリモ流転税』が、湖底の生態系を大きく揺るがしている。この法案は、水流に身を任せず一箇所に停滞する個体に対し、怠慢税として高額な藻屑を徴収するというものだ。政府は「停滞は退化である」と強調するが、水流の届かない岩陰に住む老齢個体からは「物理的に回れない」との悲鳴が上がっている。現政権は、回転による微細な光合成効率化を税の正当性として掲げているが、実際には回転の速さを競うマリモによる「過剰回転競争」が加速しており、湖底は常に洗濯機のような乱気流状態が続いている。
そもそもマリモが球体を維持し、回転運動を繰り返すのは、光を均等に浴びるための生存戦略である。しかし、今回の税制導入により、わずかな回転速度の低下が家計(栄養摂取量)を直撃するため、一部の若手個体はドーピングのように水流ポンプを自作してまで回転数を維持する事態に発展した。政府はこれを「健全な努力」と称賛しているが、湖底の研究者たちは「回転効率を追求するあまり、本来の深みのある藻の質が損なわれている」と警鐘を鳴らしている。もはや阿寒湖は、静寂を失った狂乱の回転スタジアムと化した。
今回の税制の背景には、昨今の「球体至上主義」による極端な選別思想がある。円周率の暗唱義務化や角取り研磨といった過去の政策と同様、政府は「効率こそが正義」という強硬な姿勢を崩していない。しかし、光の届きにくい岩陰でひっそりと育つ個体こそが、阿寒湖の多様性を守る重要な役割を果たしているという意見も根強い。今回の徴税により、経済的困窮に陥った個体が浮力で湖面へ強制排除される事例も報告されており、人道ならぬ「藻道」上の問題として国際的にも注目が集まっている。
世間では今回の政策に対し、「回転しなきゃ餓死なんて過酷すぎる」「俺たちは洗濯物じゃないんだぞ」といった怒りの声がSNS(藻・ネット)で溢れている。一方で、「常に前へ進む(回転する)個体だけが生き残るべき」という極論を唱える保守層との間では、湖底のいたるところで小競り合いが絶えない。阿寒湖の未来は、この狂った回転数の先に何を見出そうとしているのか。流転の果てに待つのは安寧か、それとも藻屑の海なのか、今のマリモ政府にその答えは見えていない。
コラムニスト:藻野 回平
「回転なき者は食うべからず」マリモ流転税が招いた湖底の格差社会
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