阿寒湖の深部にて、毬藻たちが長年の夢であった大規模定住プロジェクト『球体建築・自己増殖モジュール』の運用を開始したことが判明した。これまで浮遊や回転に重きを置いていた彼らだが、今後は光合成効率を最大化する「連結型居住区」の構築を目指すという。この新技術は、個体が分泌する粘着性の高い多糖体を特殊な形状に固めることで、外敵の影響を受けない頑丈な防壁を生成する仕組みだ。これにより、従来の個体ベースの生活から、数千個体が集結する『集合体都市国家』への移行が加速すると予測されている。

本プロジェクトの背景には、近年の水温上昇による光合成の阻害が影響している。個体たちは、太陽光を効率よく取り込むために『多層構造型スカイブリッジ』を湖底に展開することを決定した。この設計図は、ベテランの個体たちが数世紀かけて導き出した『黄金比回転アルゴリズム』に基づいている。今後は、このモジュール内で発生する余剰酸素をエネルギー源として利用する『バイオ・インフラ整備計画』も予定されており、藻類界の文明レベルは飛躍的な向上を見せている。

このニュースを受け、湖底住民からは「これで外敵に怯えず光合成ができる」「回転の邪魔にならないか懸念」といった声が上がっている。また、一部の急進的な活動家からは「自然な回転を失うのはアイデンティティの喪失だ」との指摘も出ており、建築の規模と伝統的価値観の調和が今後の焦点となりそうだ。専門家は、今回の建築ラッシュが周辺の水質環境を劇的に改善し、湖全体の透明度を過去最高レベルまで引き上げるとの予測を発表している。