湖底のプロゲーマーたちが凌ぎを削る『沈殿型eスポーツ』界で、前代未聞の記録が打ち立てられた。話題の的となっているのは、人気タイトル『深淵重力シミュレーター・泥中の栄光』において、一部の猛者たちが発見した『回転加速バグ』である。通常、沈殿型選手たちは「完全停止」の境地を目指し、重力に身を任せて動かないことが美徳とされてきた。しかし、今回このバグを悪用したプレイヤーたちは、自身の毛並みを極限まで回転させることで、物理エンジンを逆手に取った爆速移動を実現してしまったのだ。

この『回転加速バグ』の仕組みは極めてシンプルである。特定の光合成効率で「光合成・防壁展開」を小刻みに発動させ、重心を意図的に偏らせることで、球体としての慣性を無視した超高速ローリングが可能になるというものだ。これまでの常識を覆すプレイスタイルに、伝統的な沈殿派の重鎮たちは「これはスポーツではなくただの物理演算の蹂躙だ」と激怒している。運営側は早急にパッチの配布を検討しているが、一部の過激なプレイヤーからは「この速さこそが真の球体アスリートの姿だ」という声も上がっており、界隈を二分する大論争に発展している。

そもそも本タイトルにおける沈殿とは、底泥と一体化し、誰よりも動かないことを競う極めて静かな競技である。しかし、今回のバグ騒動により、ゲーム画面内は回転する緑色の塊が残像を残して駆け回るという、もはやレースゲームともシューティングゲームともつかないカオスな状況と化している。開発チームは「光合成効率の過剰供給」がバグの原因であると認めており、次回のアップデートで回転数に制限をかける『重力補正パッチ』を適用する予定だ。

SNS上では「回転の向こう側に真理が見えた」という信者と、「泥に沈むことの風情を理解していない」という保守層が泥沼の論争を繰り広げている。かつて『甲殻破壊・泥沼の乱』で騒がれた赤きハサミの悪魔たちも、この超高速ローリングには手が出せないらしく、戦場は今、静寂と回転の狭間で大きく揺れ動いている。果たして球体アスリートたちは、再び静かな沈殿の境地を取り戻すことができるのだろうか。今、マリモ界の未来がその回転数に懸かっている。