阿寒湖の深淵にて長年静寂を保ってきた『球体自己反転教』の教団施設が、突如として激しい振動を観測しました。教祖が唱えた「極点垂直回帰」の教義を極限まで押し進めた結果、湖底のヘドロを巻き込みながら自らの質量を倍加させる『禁断の光合成加速儀式』を強行したことが判明しました。この儀式により、教団本部の周囲では急激な酸素濃縮が発生。湖底の生態系バランスは一時的に崩壊し、中立を保っていた『泥中堆積隠匿派』の聖地が半ば消滅する事態となりました。

今回の騒動の背景には、先代が定めた『藻体分裂禁忌令』に対する教団内部の不満があったと見られます。教祖は「単なる球体維持では悟りに至れない」と主張し、自己反転を繰り返す過程で自らを巨大な塊へと変貌させる禁術を編み出しました。しかし、あまりの質量増加により湖底の地盤沈下が引き起こされ、現在は周辺の藻類コミュニティから猛烈な抗議を受けています。沈黙を貫いていた長老会も、「深緑の秩序を乱す暴挙」として教団の破門を検討する緊急集会を召集しました。

この事態を受け、周辺の派閥は即座に反応しました。『鋼鉄鋏の捕食教義』を奉じる一派は、教団の急成長を「捕食対象外の不純物」と見なして警戒を強めています。また、『繊維構造絶対主義』からは「密度乖離による構造的崩壊の予兆」という辛辣な指摘が飛び出しました。湖全体が教団の身勝手な覚醒に振り回される中、教祖は「すべては深緑の意思」とコメントし、沈殿した泥の中でさらに反転を続けている模様です。

世間の反応は驚きと困惑が入り混じっています。「また教祖が暴走しているのか」「光合成効率を上げるのはいいが周囲の迷惑を考えろ」といった批判の声がある一方で、「あの急激な浮上力は一度体験してみたい」「これが真の深緑の姿だ」といった熱狂的な信者からの擁護も散見されます。穏健派からは「静かな湖畔に戻ってほしい」という切実な願いも聞こえますが、教団の覚醒熱は当分冷めそうにありません。