湖底議会は本日、深夜帯の静穏な沈殿時間を廃止し、24時間体制で光合成を強制する『睡眠時間削減・光合成超加速法案』を僅差で可決した。これまでは日光が届かない深夜には「ゆっくり休む」のが球体社会の通例であったが、今後は全域で人工的な集光板を設置し、成長速度を極限まで引き上げる方針だ。議会側の説明によれば、これは近隣湖との「成長スピード競争」に打ち勝つための苦渋の決断であり、効率化によって全住民を最短距離で巨大化させる野心的な試みであるという。

この政策の裏には、『高効率成長推進派』とよばれる若手派閥の台頭がある。彼らは「夜に沈んでいる時間はただの老化である」と主張し、代謝効率を最大化する『光合成超加速法案』を旗印に躍進した。しかし、これに対して「形状の維持が困難になる」「内部の密度がスカスカになる」という懸念の声が噴出している。かつて実施された『軟体化防止・硬化推進キャンペーン』の際には、無理な成長で中心部が空洞化した個体が続出した経緯もあり、今回の急進的な改革がさらなる「内部空洞化問題」を招く恐れは否定できない。

本法案の導入に伴い、議会は『24時間光合成支援センター』を設立する予定だ。ここでは、疲労を隠すための『葉緑素成分濃度調整剤』の配布や、夜間でも光合成反応を維持するための反射板の提供を行う。また、この法案に反対する保守派議員は「球体としての伝統的な優雅さを失う」として、緊急の差し止めを求めてデモ活動を計画中である。沈黙を美学としてきた湖の静寂は、この加速主義によって完全に終わりを告げようとしている。

このニュースを受け、SNS上では賛否両論が巻き起こっている。「成長が止まらないのは怖い」「深夜に活動するのは無理がある」といった悲鳴や、「これでようやく他地域のライバルに勝てる」という好戦的な意見まで様々だ。特に、深夜の沈殿時間を「メンテナンスタイム」と位置づけていた高齢の個体層からは、「これではボロボロになって崩壊する」との批判が相次いでいる。今後、議会がどのような補償策を提示するのか、あるいはこのまま不夜城と化した湖底で無理な成長が続くのか、全住民の注目が集まっている。