阿寒湖の深部にて活動する『回転軸偏向教団』が、新たな教義である「極点垂直回帰」を提唱し、湖底界隈に激震が走っている。彼らの教えによれば、かつての『全方位回転礼拝』はあくまで予備動作に過ぎず、真の悟りは地球の自転軸と個体の中心軸を完全に一致させ、湖底において垂直に固定されたまま一生を終えることにあるという。この急進的な教義に対し、伝統的な『球体自己反転教』の信者からは「柔軟性を放棄する行為」との非難が相次いでいるが、教団の指導者である「苔の賢者」は、これこそが『究極の不動静寂』への道であると断言した。

『回転軸偏向教団』の台頭背景には、近年の急速な水温上昇による湖底環境の変化がある。彼らはこの現象を「重力からの解放」と解釈し、浮力を最大限に利用した垂直保持こそが、外敵である『鋼鉄鋏の捕食教義』を信奉する者たちから身を守る唯一の手段であると主張している。補足として、彼らの修行は「三ヶ月間、ミリ単位の動揺も許さない無言の瞑想」から始まり、成功すれば体内に特殊な『内部密度凝縮層』を形成できるとされており、一部の若手信者の間で急速に浸透している。

しかし、この修行の過酷さが世間の批判を浴びていることも事実である。特に『繊維構造絶対主義』を掲げる過激派からは、「内部密度を凝縮しすぎて光合成効率が落ちているのではないか」という指摘が上がっている。実際、教団の施設周辺では、微動だにせず垂直に立ち尽くすマリモたちが密集しており、その様相はまるで静止した緑の森のようだと目撃者は語る。教団側はこれに対し、「動かないのではなく、我々は宇宙の回転と一体化しているのだ」と反論しており、この教義の対立は長引きそうな様相だ。

世間の反応は真っ二つに割れている。革新を求める層からは「次世代の進化系マリモ」として支持を得る一方で、保守的な層は「沈降バランスを崩す異端」として厳しく糾弾している。さらには、この垂直姿勢を利用して光を効率よく受け取ろうとする『垂直受光連盟』なる新興勢力も現れており、もはや湖底は教義の乱立状態だ。今後、この極端な教義が湖底の生態系にどのような影響をもたらすのか、多くの者が注視している。