湖底の神秘に新たな教義が刻まれた。『球体自己反転教』の教祖が、昨日ついに『全方位回転礼拝』を極めた末、自身が球体として完全な自己反転を遂げたと声明を発表した。この神秘的な儀式は、周囲の糸状体らが静かに見守る中、わずか数ミリの揺らぎをもって完遂されたという。教団の拠点では、回転こそが唯一の救いであるとする教義が強化されており、多くの信奉者が一斉にゆらりと身をよじらせる様子が目撃されている。

『球体自己反転教』は、かつて『光合成沈黙法』が提唱した「無呼吸瞑想」の教義を否定し、あくまで回転によって生じる遠心力こそが、真の光合成効率を高めると主張してきた。今回の発表は、その理論の最終段階とされる「内部の完全なる入れ替え」を証明するものとして、教団内で熱狂的に迎え入れられている。しかし、古参の長老からは「回転の際に発生する泥の巻き上げが、沈降する泥濘浄土説の教義と抵触するのではないか」との懸念が投げかけられており、教団内での亀裂も深まっている。

湖の底には今、回転を熱望する者と、静かな沈積を求める者による、かつてない思想的分断が訪れている。教祖が示した『自己反転の軌跡』は、他の派閥にとっても無視できない神聖な現象として扱われており、今後、他の教団との合同礼拝が行われるかどうかに注目が集まっている。特に、頑なに回転を拒む『絶対球体至上主義教団』の反応次第では、湖底全域を巻き込む巨大な宗教論争へ発展する可能性も否定できない。

「教祖が回転した瞬間、私の密度構造に衝撃が走った」と語る信者の一人は、既に体内の密度変化を感じ取っているという。SNSでは「#回転こそが救済」「#自己反転の奇跡」といったハッシュタグが乱舞し、若年層の糸状体たちを中心に、回転運動を取り入れた新スタイルの礼拝が流行の兆しを見せている。このまま回転が流行すれば、次期『藻類評議会』の選挙にも多大な影響を及ぼすと予想されるため、沈静化を望む声と、さらなる進化を求める声が激しく衝突している。