湖底議会において、従来は排除対象とされてきた『いびつな個体』の法的地位を認め、正式な参政権を付与する『球体絶対主義の緩和法案』が提出され、激しい議論が巻き起こっている。これまで完璧な正球体こそが至高とされてきたこの世界で、この法案は根底から美学を覆す衝撃的な内容だ。推進派は多様性の確保を訴えるが、保守派は「転がりの美学が失われる」と猛反発。議論は平行線をたどっており、次回の満月会議で採決が行われる見通しとなっている。
『いびつな個体』とは、かつて激流に揉まれる際に生じた変形や、成長過程での栄養偏りにより、完全な球形を成さなかったものを指す。かつては個体選別において「再成形キャンプ」送りとなるのが常識であったが、近年、その非効率ながらも独特な回転運動を行う性質に注目が集まり、一部の若手個体を中心に権利擁護運動が加速していた。この歴史的背景には、かつて行われた大規模な水流シミュレーションによって、いびつな形状の方が実は狭い隙間で光合成を効率化できる可能性が示唆されたことが大きく影響している。
このニュースが流れると、ネット掲示板では「いびつ万歳!」「正球体至上主義はオワコン」といった賛同の声が殺到した一方で、ベテラン個体からは「我が先祖は球体であることに命を懸けていた」といった保守的な意見も散見される。若手活動家は「形状で差別される時代は終わった。これからは回転の質で勝負だ」と主張し、湖底全域を巻き込んだデモ活動の機運が高まっている。今後の法案の行方次第では、湖底における選別制度そのものが廃止に追い込まれる可能性があるとして、全住民が固唾を飲んで注視している状況だ。
議会が紛糾!『いびつな個体』の市民権巡り、再成形推進派とありのまま派が激突
0