湖底の平和を揺るがす深刻な事態が発生した。これまで穏やかな隣人として共生していたはずの『緑の暴君・マツモ』が、突然変異的な成長速度で領域を拡大し、球体たちの居住区を強引に包囲するという『無差別領土接収事件』が勃発したのである。被害に遭った個体によれば、ある日突然、強靭な葉茎を網のように広げられ、光合成の機会を奪う『日光遮断ドーム』を構築されたとのこと。この狡猾な戦術に対し、球体側は緊急防衛会議を招集したが、相手は根を持たずに漂流する神出鬼没の侵略者。固定された居住地を守るマリモたちにとって、絶え間なく這い寄るこの緑の悪夢は、文字通り息の根を止める最大の脅威となっている。

『緑の暴君・マツモ』の異常繁殖の裏には、湖底で流行中の過剰な『湖底栄養剤バラマキ事件』が関与していると見られている。もともと栄養を独占したがる性質の『緑の暴君・マツモ』が、投棄された肥料によって巨大化し、マリモの栄養源を横取りしているのだ。専門家の分析では、このまま放置すれば湖底の景観が一変し、すべての球体が彼らの影に埋もれてしまう恐れがあるという。現在、球体たちは『円形保持委員会』を通じて『マツモ撤去重機部隊』の派遣を要請中だ。しかし、柔軟な茎を持つ相手に対し、物理的な接触は逆に繁殖を助長する懸念もあり、決定打が見つからない状況が続いている。

事態を受け、球体界隈では「毛玉の権利を守る会」が結成されるなど、世論は沸騰中だ。SNS上では、自身の住居を占拠された被災者からの悲痛な報告が相次いでいる。「もう光が届かない」「茎に絡まって転がれない」といった嘆きの一方で、一部の過激派からは「我々も進化して茎を巻き込んでやればいい」という血気盛んな意見も飛び出し、混沌を極めている。さらに、食いしん坊の『甲殻類ハサミ部隊』に「マツモを食べてくれるならお礼に藻を分ける」という報酬付きの求愛活動を行う動きもあり、事態は多角的な異種間抗争の様相を呈している。