阿寒湖底の教育現場に、未曾有の危機が訪れている。卒業を控えた若手藻たちを対象に行われている『核内核入れ替え実習』にて、本来の美しい球体形状を維持できず、楕円や歪な多面体に変形してしまう生徒が続出しているのだ。本実習は、より効率的な栄養吸収を目的として開発された教育カリキュラムだが、今年度は核の入れ替え手順を誤り、体内の成長シグナルが暴走する個体が後を絶たない。教育委員会は緊急事態を宣言し、全ての変形藻を隔離する『形状補正隔離棟』の設置を急いでいる。

本件の背景には、昨今の教育界における過度な効率化重視の風潮がある。先代から受け継がれた「回転慣性学習法」を応用し、核を高速回転させながら中心密度を高めるこの手法は、成功すれば一回り大きな球体への進化が約束される。しかし、実習の難易度は極めて高く、昨年度の『深層光合成教育』の成績が振るわなかった個体が無理に挑戦したことが、今回の惨状を招いたとの見方が強い。現場からは「これでは卒業後に綺麗な丸い姿で湖面を浮遊できない」と悲痛な叫びが上がっており、教育委員会の責任を問う声も高まっている。

現地の教育保護者団体である「球体維持の会」からは、「実習内容を早急に見直すべきだ」との抗議声明が出されている。一方、若手藻たちの間では「むしろ歪な形こそ個性的でクールだ」と変形をファッションとして捉える『多面体ブーム』が密かに蔓延しており、教育方針と感性の乖離が浮き彫りとなっている。専門家によれば、この変形は一時的なものであり、春の光合成サイクルに入れば自然と元の形に戻る可能性が高いとのことだが、卒業式を目前に控えた保護者たちの不安は消えていない。

SNS上では「昨日の授業で核を入れ替えたら隣の奴が三角形になってた」「これぞまさに芸術だろ」といった投稿が相次ぎ、ハッシュタグ『歪みこそ正義』がトレンド入りする事態となった。一方で、厳格な教官からは「球体であってこその我々だ。不規則な形状はただの欠陥品である」との厳しい意見も寄せられ、湖底では今、形を巡る激しいイデオロギー論争が繰り広げられている。この事態を受け、来年度以降の実習カリキュラムには、精神面を安定させる『内面安定光合成』の導入が検討され始めている。