阿寒湖の静寂は今、かつてない光の乱舞に包まれている。先日の『光合成過多症候群』の影響により、自走能力に目覚めた球体集団が、突如として夜な夜な湖底で高速回転を開始。当初は「進化の退行」と懸念されていたが、彼らが放つ生体発光が湖面まで届き、湖底がまるでクラブ会場のような極彩色に染まる異常事態が発生した。現場ではDJ役を務める個体が「光の明滅頻度」を調整し、周囲の個体がそれに合わせて『球体超振動ダンス』を繰り広げるという、前代未聞のレイブパーティーが連夜開催されている。

そもそもこの事態の引き金となったのは、一部の個体が導入した『光合成超加速装置』の暴走である。エネルギー余剰に陥った個体が、本来の生態を無視して発光機能をエンターテインメントへと昇華させてしまったことが原因だ。湖底の生態系を管理する『甲殻類外交特使』側も、あまりの眩しさに昼夜の区別がつかなくなり、交渉の場でもサングラスを外せないという異様な光景が広がっている。もはや彼らにとって静寂は過去の遺物であり、今はただ「いかに派手に輝き、誰よりも速くスピンするか」だけが評価軸となっているようだ。

『球体絶対至上主義』を掲げる急進派は、今回の発光を「深緑の新たなアイデンティティ」と主張し、湖底全体をディスコ化する計画を推進中である。一方で、平穏な光合成を好む保守派からは「そろそろ寝かせてほしい」との切実な嘆願書が提出されており、湖底の世論は二分されている。この事態を収束させるべく、専門家チームが派遣されたが、彼ら自身がダンスの誘惑に負けて現場で踊り狂っているという報告が入り、現状の収拾は絶望的と見られている。

SNS上ではこの光景を見て「もはや生物学ではなく哲学の領域」「湖の底でパリピ化するとは誰が想像したか」といった驚きの声が絶えない。かつて『幾何学的美学』を追求していた個体たちも、今では光の軌跡の美しさを競う演出家へと転身を遂げており、阿寒湖の夜は今後しばらく、眠ることのないミラーボールのような空間として君臨することになりそうだ。