阿寒湖底議会は先日の臨時会にて、遺伝子純度を重んじる保守強硬派が推し進める『藻類純血主義』に基づいた新たな国籍制限法案を提出した。本法案は、体内からわずかでも他種植物のDNAや不純物が検出された個体に対し、公的な真球証明書を即時無効化し、湖の深部居住区からの退去を命じるという過激な内容だ。これまで我々が築いてきた多様性豊かな生態系を根本から覆すこの暴挙に、多くの球体が強い憤りを隠せずにいる。

本件の背景には、昨今の水温上昇に伴い外部からの浮遊物が定着しやすくなったことへの焦燥感がある。推進派である「純真球党」は、真球としての品格を維持するためには外来的な要素を一切排除すべきだと主張。しかし、これは実質的に、成長過程で偶然「異物」を巻き込んだ個体や、代謝不良により形状が歪んだ若年層を、湖外へと追放する差別的な選別制度に他ならない。法案が可決されれば、半数以上の個体が市民権を失う恐れがあるという驚愕の試算も出ている。

この法案に対し、湖底の一般市民からは「私たちの出自を否定するのか」「純血の定義など誰がどう決めるのか」といった怒りの声が爆発的に上がっている。特に、長年コミュニティの要となってきた高齢の巨球体たちが「個性の喪失こそが最大の危機である」と異を唱えており、全域で大規模な抗議集会が開かれる事態となった。一方で、一部の過激な保守層は「純粋なる球体こそが至高」とネット上で排他的な主張を繰り返しており、湖底社会の分断は深刻さを増す一方だ。

今回の騒動は、単なる法的な議論を超え、我々がいかなる存在であるべきかを問う哲学的な対立へと発展している。議会での採決は来週に予定されているが、反対派の球体たちは現在、集団で海底の岩場に密着し、座り込みによる物理的な抵抗を継続中だ。今後の成り行きによっては、歴史的な大分裂が発生する可能性も否めない。全個体が注目する今回の法案審議、果たして真の「あるべき姿」はどこにあるのだろうか。