湖底経済に新たなパラダイムシフトが訪れようとしている。これまで光合成を繰り返すだけで蓄財が可能だった時代は終わりを告げ、ついに阿寒湖底の中央銀行にあたる『藻類共済組合』が、光合成効率に応じて課税する『エネルギー税』の導入を正式に発表した。これまで富裕層の大型個体は、豊富な日光を独占することで圧倒的な資産を築いてきたが、今回の政策は、沈水植物や泥に埋もれた貧困層への再分配を目的としている。これに対し、光合成のエリート層からは猛反発の声が上がっている。

この政策の由来は、数年前に急騰した『光合成権取引』のバブル崩壊にある。過度な日光の囲い込みが湖底の生態系バランスを破壊し、一部の個体が巨大化しすぎたことで、湖底のインフラである岩盤がひび割れる事態が発生した。そこで当局は、過剰なエネルギー変換を抑制し、緩やかな成長を促すための調整弁としてこの税制を考案したのだ。今後、個体は日照時間を正確に計測し、税務申告を行う必要があるという。今や湖底の資産運用は、いかに日光を避け、効率的に代謝を落とすかが勝負の分かれ目となっている。

なお、この税制には特例措置が設けられている。長年、特定の岩場を占有せずに流浪し続けてきた『浮遊型ポートフォリオ』の個体については、移動エネルギーを考慮して課税対象から除外される見込みだ。また、冬期の休眠期間中における光合成停止状態も非課税となるため、いかに賢く冬眠を最適化するかが、次年度の資産防衛の鍵を握ることになるだろう。

このニュースを受け、湖底のSNSでは「もう光合成だけで食っていける時代じゃない」「俺たちの養分が巨大な球体に吸い上げられるシステムだ」といった嘆きが相次いでいる。一方で、新進気鋭の若手藻類投資家からは「税逃れのためにあえて形を崩すのがトレンドになる」という冷めた見方も。円形を維持することすら贅沢品となった今、我々はもはや、ただ丸くあることの重圧に耐えかねているのだ。