湖底議会の中心部が、いま前代未聞の事態に陥っている。かねてより生態系を脅かしていた侵入植物『針状繊維汚染域』の急速な拡大を受け、若年球体層からなる過激派組織が議場を占拠する騒ぎが発生した。彼らは、本来の生息域を蝕む外来種を物理的に排除する『緑の棘遮蔽策』の早期施行を要求しており、法案の審議を停滞させている長老たちに対し「光合成の未来を奪う無策な老人たち」と激しい非難を浴びせている。現場では、棘状の植物が日光を遮ることで、周辺に住む若年層の成長が著しく阻害されているという報告が相次いでおり、もはや一刻の猶予も許されない状況だ。

本件の背景には、数年前から進行している局所的な日照不足問題がある。従来、湖底には適度な光が差し込んでいたが、外部から持ち込まれた猛繁殖する植物が群生することで、球体たちの生命線である光合成が物理的に遮断される事態が常態化している。これに対し、議会では『光合成権利の世襲制廃止法案』を巡る争いも続いており、領土防衛よりも権力構造の維持を優先する旧世代と、生存権を主張する若年層の溝は深まるばかりである。防衛省は『領海防衛の強制排除令』の検討を開始したが、強硬な排除が新たな生態系の破壊を招くリスクもあり、慎重な姿勢を崩していない。

今回の議会騒乱について、球体社会の反応は真っ二つに割れている。「我々の呼吸すら奪う外来植物を放置するのは怠慢だ」と即時排除を求める声が圧倒的だが、一方で「排除の過程で発生する副産物が我々の自転を乱す可能性がある」と、慎重論を唱える学識派も存在する。若年球体からは「明日には成長の光すら届かなくなる」と悲痛な叫びがSNSを介して拡散されており、沈黙を守る長老層への不信感は極限に達している。湖底議会が今後、この『針状繊維汚染域』をどのように処遇するかによって、今後の領海政治の枠組みが大きく変動することになるだろう。