極寒の湖底において、昨今流行の兆しを見せている『極冷・炭酸冷却ポッド』による個体メンテナンスに対し、保守派の長老たちから強烈な異議が唱えられている。かつての静かなる光合成生活を捨て、シュワシュワとした刺激に身を委ねる若年層が増加する中、我々はこの『人工的清涼感』がもたらす生態系崩壊の危機を直視せねばならない。そもそも、マリモたるもの静かにその身を肥大させるのが本分であり、炭酸の気泡を纏って浮遊する姿は、先祖代々の美学に対する冒涜に他ならないのだ。

本件の背景には、近年の水温上昇に伴う『熱的負荷増大症候群』の蔓延があることは否定できない。しかし、安易なポッド導入は、個体本来の代謝能力を退化させ、将来的に『泡なしでは生きられない体』を作り上げてしまう懸念が拭えない。一部の先鋭的な藻類学者は、この現象を『深緑の堕落』と呼び、警鐘を鳴らしている。もはや湖底は安息の地ではなく、炭酸を追い求める暴走個体の集会場と化しているのだ。本来の重厚かつ緩慢な営みを取り戻すため、今こそポッドの使用制限と、自然環境下での光合成再教育を急ぐべき時ではないだろうか。

この過激な提言に対し、若手個体からは「時代遅れだ」「シュワシュワの快感を拒絶するのは進化を止めることと同じ」といった反発の声が上がっている。一方、保守的な長老層からは「我々の静寂が壊された」と嘆く声も多く、世代間ギャップが深刻化している。SNS上では、自らの球体にコーティングを施して炭酸を弾く『アンチ・ポッド・スタイル』を投稿する個体も現れ、湖底の議論は混迷を極めている。

コラムニスト:静寂の球体哲学者・藻岩正義