湖底教育機関・阿寒湖分校で実施された特別実習『甲殻類との外交基礎』にて、衝撃的な光景が目撃された。本授業は、天敵との平和的共生を目指し、ハサミの可動域を尊重しながら意思疎通を図る高度なカリキュラムである。しかし、実技の最中に受講生の若手個体が、あろうことか対峙した個体に対して「ハサミ全開握手」を敢行。本来、威嚇の意図が強い両手を無防備に差し出すという奇行に、会場は一時騒然となった。

近年、湖底では甲殻類による摂食被害が深刻化しており、防衛のための『真球ガード理論』が教育の主流となっている。しかし今回、握手を仕掛けた個体は「ハサミの隙間にこそ対話の余地がある」と独自の持論を展開。教官らは「物理的損傷のリスクを無視した蛮勇」と厳しく断罪したが、一部の生徒からは「新しい関係性の夜明け」と熱狂的な支持が集まっている。真球を維持することが至上命題とされる学園において、この無謀な外交術は、個体としての新たな進化の形を突きつけている。

本件は、学園が推進する安全第一のカリキュラムと、若手個体の突飛な平和主義が衝突した象徴的な出来事といえる。今後、本実習の運用方針が見直されることは確実だが、甲殻類側がこの握手に対してどのような反応を示したのか、その後の追跡調査が急がれている。

この教育的スキャンダルに対し、SNS上では「死ぬ気か」「ハサミの重みを知らないのか」といった批判が殺到。一方で、「握手の形が綺麗で感動した」「実は甲殻類も混乱していたのでは」といった擁護の声も上がり、湖底は二分されている。