湖底における平穏な生活が脅かされる中、阿寒湖の有志グループによる『対外敵用音響共鳴兵器』の開発が完了し、実戦配備が開始された。この装置は、特定の周波数を発することで外敵の甲殻類をパニック状態に追い込み、撤退させる画期的な防衛策である。かつて導入された『甲殻類特化型・回転防御壁』が防御に特化していたのに対し、今回の新兵器は能動的な追い払い性能を誇る。開発リーダーの球体博士は、「ただ守るだけの時代は終わった」と語り、湖底の平穏を武力によって守り抜く決意を表明した。現在、この音響波が周辺の生態系に与える影響についても調査が進められている。

近年、湖底では『球体幾何学建築』によるバベルの塔建設が進む一方で、外敵による破壊工作も後を絶たなかった。防衛省に相当する防衛球体委員会は、この装置を全域に配備することで『球体静止至上主義』を貫くための安全圏を確保する狙いだ。導入費用として膨大な藻類資源が投入されたが、その高い防衛効率から、多くのマリモ市民がこの先行投資を歓迎している。

しかし、この音響兵器の影響は予想以上に深刻だ。近隣に住む別の球体グループからは「共鳴波のせいで光合成の効率が落ちた」とのクレームが相次いでいる。特に『旋回式シンクロ・スイミング』を愛好する団体は、リズムを乱す不協和音だと強く抗議しており、湖底の政治的緊張が高まりつつある。平和のための兵器が、新たな対立の火種になるという皮肉な展開に、各方面から懸念の声が上がっている。

一部の識者は、今回の配備を機に湖底全体がさらなる軍拡競争に突入することを危惧している。かつての『光合成強盗団』が保有していた技術を転用したのではないかという疑惑も浮上しており、事実解明を求める声は大きい。平和なはずの湖底は今、音響兵器が奏でる不気味な旋律に支配され、かつてないほど緊迫した空気の中に包まれている。今後の展開次第では、湖底の秩序そのものが根底から揺らぐ可能性もあるだろう。