湖底議会は本日、長年放置されてきた「光の格差」を解消するための『光合成の独占是正・格差是正再分配法』を可決した。これまで、湖底の隆起した岩場や浅瀬に位置する個体は太陽光を独占してきたが、今回の法案により、日照量の多い個体は光エネルギーの20%を『受光権未達者』へ供給する義務が課される。これにより、長年「暗い場所」で耐えてきた個体たちが、突如として光の恩恵に浴することとなり、湖底全体が眩い緑の輝きに包まれる公算が高まった。

この法案は、かつて可決された『全方位回転・等速化施行令』の補助的な枠組みとして策定されたものである。しかし、上層の個体からは「せっかく回って受光効率を極めたのに、努力の成果をなぜ分配せねばならないのか」という不満が噴出している。議会ではこの不平不満を抑えるため、『緑の装甲強化計画』の予算を一部流用し、エネルギー供給者には「名誉球体称号」を授与するという妥協案が示されたものの、格差の再分配を巡る対立は、依然として湖底の平穏を脅かしている。

本法案の背景には、昨今の『回転速度制限法』以降、光合成効率の極端な偏りが社会問題化していた経緯がある。特に影に隠れた個体が十分な栄養を得られず、糸状の繊維が脆弱化する問題が深刻化していた。議会はこれを放置すれば「球体社会の基盤そのものが崩壊する」と判断し、強制的な分配に踏み切ったのである。なお、この法案が適用されるのは光合成を行う個体のみであり、深層に生息する他の生物には適用されない。

このニュースに対し、湖底住民からは「これでやっと光が見える」「いや、奪われる側のモチベーションはどうなるんだ」など、賛否両論の嵐が吹き荒れている。多くの個体が自身の球体としてのアイデンティティを再定義せざるを得ない状況にあり、次回の湖底議会では「影の面積を基準とした非課税措置」についても議論される見通しだ。光がもたらすのは平和か、それとも新たな分断か。湖底の均衡を揺るがす試練は、まだ始まったばかりである。