阿寒湖小学校は今学期より、従来の球体教育とは一線を画す『光合成哲学ゼミ』を試験導入した。本講座は、効率的な光合成のみを追求する「真球至上主義」を脱却し、あえて不規則な凸凹を持つことで、日光の入射角を最大化させるという前衛的な思考を養うものだ。しかし、この教育方針に対し、伝統的な丸みを愛する保護者から「我が子が角ばってしまうのではないか」という懸念の声が相次いでいる。

本ゼミの講師を務めるのは、湖底で300年以上の歴史を誇る『多角形研究家・藻田さん』である。彼は、整いすぎた球体は日光の当たり方に偏りが生じると指摘し、「不規則な突起こそが成長の鍵」と主張する。講義では、あえて自身の体をわずかに歪ませる『歪曲シミュレーション』が実演されたが、クラスメイトから「見た目が崩れている」と大ブーイングが巻き起こった。この異端の教育は、湖底社会における個のアイデンティティを根底から揺さぶり始めている。

背景には、最近の温暖化により浅瀬の水温が上昇し、従来の球体形態では中心部が蒸れるという問題があった。この『蒸れ対策教育』の一環として、あえて形を崩して通気性を高める手法が注目されている。しかし、卒業試験の項目には「どれだけ美しい真球を維持できるか」という基準が依然として残っており、現場は二律背反の板挟みに苦しんでいる。

このニュースを受け、湖の各所では論争が勃発している。SNS上では「丸くないのはマリモじゃない」「いや、生存戦略としては合理的」といった意見が飛び交っており、教育委員会が緊急声明を出す事態となった。一部の過激派からは、角ばった個体は教育課程から除外すべきという声も上がっており、阿寒湖の教育現場は歴史的な転換点を迎えている。