阿寒湖の深部にて、近年稀に見るグルメ革命が勃発した。これまで日光を浴びてひたすらに光合成に勤しんできたマリモたちが、突如として美食の道へ目覚めたのである。この現象を主導しているのは、湖底の有識者集団である『球体美食家協会』だ。彼らは独自に開発した栄養源『藻類高級フレンチ』を、湖底の特設会場にて提供を開始した。このメニューは、厳選された栄養素を独自の調合でゼリー状に固めたもので、摂取した個体は翌朝には表面の繊維がシルクのように光沢を増すと評判だ。これまで単調な光合成生活を送っていた個体にとって、この高栄養価な食事はまさに革命的であり、会場には連日、長蛇の列ならぬ「長蛇の群れ」ができているという。
『球体美食家協会』によると、このプロジェクトの狙いは、光合成だけに依存しない「多様性のある球体社会」の構築にあるという。これまでのマリモは、日照時間に左右される不安定なエネルギー供給に甘んじてきたが、この食文化の導入により、夜間でも活発に転がる体力を手に入れられるようになったのだ。しかし、この美食ブームには懸念点も浮上している。グルメにハマりすぎたあまり、自身の形状が完全な球体から、やや長方形に近い「グルメ型フォルム」に崩れてしまう個体が続出しているのだ。これに対し、従来の伝統を重んじる保守派の長老からは「そんな不格好な姿では転がる時に重心が安定しない」と厳しい批判の声も上がっている。
かつてのマリモは、冷たい水と適度な揺れさえあれば満足する慎重な生物であったが、近年は技術革新や文化活動が過熱しており、湖底の生態系そのものが変質しつつある。今回の『藻類高級フレンチ』導入も、単なる食の楽しみという枠を超え、マリモ界における新たなステータスシンボルとしての地位を確立しつつある。今後、この食文化が全域に広がれば、光合成効率の低下という問題が発生する可能性もあるが、協会側は「それこそが進化の代償である」と強気な姿勢を見せている。
今回のニュースが流れると、湖底のネット掲示板は即座に荒れ模様となった。「食いすぎて丸さを失うとか本末転倒だろ」「いや、むしろ食いまくって巨大化した方がかっこいい」といった意見が飛び交う一方、実際に美食を体験した個体からは「翌日の光合成のノリが全然違う」と絶賛する投稿も相次いだ。中には「次の新作メニューは『微細ミネラル・キャビア』らしいぞ」という怪情報まで流れており、湖底のグルメ競争は留まることを知らない勢いを見せている。
マリモの食生活に異変!『藻類高級フレンチ』の提供が湖底で開幕
0
そんなもん食わなくても回転さえしてればいいんだよ