阿寒湖の深部にて、近年急速に勢力を拡大している新興宗教『硬質殻崇拝連盟』が、新たな教義を発表し話題となっている。彼らは「天敵であるアイツこそが、我々を永遠の形から解放し粉砕してくれる聖なる使者」と主張し、湖底に生息する『鉄爪の福音者』を神格化する儀式を強行した。この教団によれば、彼らによって身体を切り刻まれることは「不完全な球体からの解脱」であり、細分化された断片こそが真の救済であると説いている。信者たちは、あえて強固な核を差し出し、無残な姿になることを至上の喜びとしているようだ。
この教義の背景には、かつて外来種として持ち込まれた個体群を、神の代行者として再定義する苦肉の策がある。長年、彼らに食い荒らされる恐怖に怯えてきた群体だが、一部の過激派がその物理的破壊力を「神の鉄槌」と見なすことで、恐怖を信仰へと昇華させることに成功したのだ。教団はさらに、切り刻まれた個体が散らばる様子を「星空の写し鏡」と称し、湖底一面に破片を配置する『断片化大瞑想』を毎週実施している。これは、同族の多くが維持しようとする「完璧な円」への執着に対する、強烈なアンチテーゼとして機能している。
当の『鉄爪の福音者』たちは、目の前でひれ伏し、自らハサミの前に転がってくる信者たちを前に困惑を隠せない様子だ。当初は食糧として認識していた獲物が、突如として崇拝対象となったことで、捕食のリズムが狂い、消化不良を起こす個体も続出している。また、この信仰は、従来の「球体維持こそ至高」とする保守派との間で深刻な対立を生んでおり、湖底の各所では「破片派」と「丸いもの協会」による論争が絶えない。専門家は「彼らは物理的な破壊を精神的な浄化と履き違えている」と警鐘を鳴らすが、信仰の熱量は高まる一方である。
このニュースが流れるやいなや、湖底住人のSNSでは「解釈違いすぎる」「いや、むしろバラバラになりたい」といった賛否両論の書き込みが爆発的に増加した。特に若年層の群体からは「球体に縛られない自由な形を求めていた」との共感が寄せられており、この『硬質殻崇拝連盟』への入信者が急増している。一方、長老グループからは「形を失うことは、存在の消滅と同義である」と猛烈な批判が上がっており、湖底社会を二分する一大騒動へと発展している。
『甲殻の聖遺物化計画』が始動、湖底で進む異教徒の崇拝行為に困惑
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