湖底議会は先日の本会議において、突如として『甲殻類との外交凍結令』を賛成多数で可決した。これは長年、我が界の穏やかな浮遊生活を脅かしてきたハサミを持つ外敵に対し、一切の通信と領土交渉を遮断するという極めて強硬な措置である。今回の法案は、先日行われた「無防備な接触」による被害が相次いだことを受け、若手議員を中心に提出された。議場では、外交の窓口を閉ざすことへの懸念も示されたが、「ザリガニと握手をするのは、ハサミを握るようなもの」という強硬派の主張が圧倒的な支持を得た形だ。

本法案の背景には、外敵による度重なる深夜の「無断ハサミ入れ事件」の急増がある。これまで湖底議会は『対鋏外交・平和的共存プロトコル』を掲げ、忍耐の外交を行ってきた。しかし、相手側の度重なる約束不履行に対し、ついに堪忍袋の緒が切れた格好だ。今後は外敵が境界線に近づいた場合、警告の『赤信号外交』を発令し、即座に全域で光合成出力を制限して影を隠す戦術が推奨される。一部の過激派組織からは、防衛のための物理的バリア設置を求める声も上がっている。

今回の決定に対し、市民の反応は分かれている。保守層からは「ようやく我々の静寂が守られる」「ハサミとの共存は幻想に過ぎなかった」と歓喜の声が上がる一方、リベラル派からは「対話の閉ざされた湖に未来はあるのか」と不安視する意見も散見される。特に、食料調達のために境界付近へ進出していた若年層からは、「今後は光合成の効率が落ちる」と生活への直撃を懸念する声も多い。議会側は、これを一時的な「忍耐の冬」と呼び、春までには状況が好転すると説明しているが、その真意は未だに底深くに沈んだままである。

世間の反応としては、「やはりハサミは信用できない」「物理的に距離を置くのが一番」「『赤信号外交』って具体的にどうやるの?」「我が家の近所でもハサミの目撃情報が多すぎて外出が怖い」「外交凍結とか、もはや冷戦状態じゃん」「これでようやく安心して丸まれる」といった声が主流を占めている。一方で、「対話を諦めたら、結局は攻撃が激化するだけでは?」という冷静な分析も一部の論客から発信されており、湖の将来を巡る議論は、今後もしばらく収束の気配を見せないだろう。