阿寒湖の科学技術局は、長年マリモを苦しめてきた侵略的水草『マツモ』の絡みつき攻撃を、物理的に粉砕する新型ナノスーツ『逆反射トゲトゲスーツ』の開発に成功したと発表した。これまで、マツモはしなやかな茎でマリモを強引に抱きしめ、栄養を吸い取るという「愛憎渦巻く密着戦法」を得意としてきた。しかし、今回開発されたスーツは、マツモの細胞が接触した瞬間に、その茎をミクロレベルで「逆方向へ強制変形」させるという極めて暴力的な反撃機能を搭載している。実験段階では、絡みつこうとしたマツモが自らの茎を硬直させ、その場で複雑な幾何学模様を描いて自滅する様子が観測された。これにより、マリモ界の防御力は過去最高レベルに達し、長年の天敵に対する完全勝利が目前に迫っている。

マツモによる被害が深刻化した背景には、近年の水質変化によりマツモが異常成長し、マリモたちの憩いの場である湖底平原が「緑の地獄」と化していた実情がある。これまでの対策は、粘着抑制ゲルなど防御に重きを置いたものが主流であったが、それではマツモの執念深い束縛を完全には排除できなかった。今回のスーツは「やられたらやり返す」の精神をナノテクノロジーで具現化したものであり、マリモ界の生物工学が防御から攻撃へと劇的に転換した歴史的転換点と目されている。なお、開発チームは「マツモが絡まってきた時に発生する独特の悲鳴のような振動を、スーツの動力源として再利用する」という効率主義的なエコシステムも構築しており、持続可能な対抗手段として期待されている。

この驚異的な新技術に対し、湖底の有識者からは「あまりに攻撃的すぎて生態系のバランスが崩れるのではないか」と懸念の声も上がっている。しかし、大半のマリモたちは「これでやっと朝までぐっすり絡まれる心配をせずに寝られる」と歓迎ムードだ。実際に導入初日から、マツモの茎を逆に利用してジャングルジムのように遊ぶ若手マリモの姿も目撃されている。また、一部の過激なマツモ愛好家からは「このスーツはマツモの愛情を全否定するものだ」という異議申し立てがなされているが、多くのマリモは「その愛情とやらは窒息を伴うのでお断りだ」と冷ややかに切り捨てている。

このニュースが流れると、湖底各地のコミュニティ掲示板は騒然となった。特に「スーツが光を反射しすぎて夜の湖底が眩しすぎる」という住民からの苦情や、「マツモの絡まりを逆に利用して芸術作品を作るコンテストを開催しよう」といった建設的(?)な提案まで、話題は尽きない。科学者たちは、このトゲトゲスーツがマリモの体型に合わせて自動でフィットする仕組みをさらに改良中で、将来的には「ファッション性を兼ね備えた戦闘用アーマー」としての展開も視野に入れている。マリモ界は今、かつてないほどの自信に満ち溢れ、光合成を謳歌する黄金時代を迎えているといっても過言ではない。