湖底経済の株価ボードを席巻していたのは、優雅な回転を誇るマリモたちの信頼を揺るがす戦慄のニュースだった。ここ数週間の異常な水温上昇により、水草「マツモ」が異常繁殖。マリモの繊細な毛足にマツモの硬い茎が絡みつき、強制的に「合体」させられる事態が多発している。この事態を受け、市場では二つの個体が強引に結合される「強制合併取引」という新たなデリバティブ商品が誕生。マツモに絡まれたマリモは本来の回転運動を阻害され、資産価値が暴落する一方で、結合によって「巨大球体」へ進化(?)を遂げた個体が時価総額を急上昇させるなど、湖底市場は予測不能なカオスに陥っている。中央銀行にあたる湖底管理委員会は「絡まりは投資ではない」と警告を発したが、投機筋は「絡まりこそが新たなシナジー(相乗効果)だ」と反論。美しい真円の夢は今、水草という名のノイズによって、歪な形状の先物市場へと変貌を遂げようとしている。

そもそもマツモは、これまで湖底経済において「邪魔な雑草」として格付けされていた。しかし、今回のマツモ蔓延は単なる環境の変化ではない。一部の投資ファンドがマツモを「ボラティリティ向上ツール」として戦略的に利用している疑惑が浮上している。彼らはマツモを人為的にマリモの周辺へ植え付け、回転を妨げることで相場を操作。マリモがマツモを振り払う際に見せる「激しい回転(通称:暴落スピン)」を狙って、空売りを仕掛けるスキームが横行しているのだ。この状況を放置すれば、湖底の生態系バランスが崩れるだけでなく、マリモのプライドである「毛並みの整った真円」というブランド価値が完全に霧散するリスクがある。

SNS上では「マツモに絡まれるのが今のトレンド」「むしろ多角経営(マツモとの共生)を目指すべき」といった過激な意見が飛び交っている。一方で、保守的な老舗マリモたちは「かつてのような純粋な光合成を行いたい」「絡まりは暴力である」と嘆き、湖底の環境浄化を求めてデモ活動を展開中だ。また、一部の投資家はマツモとの結合を「バイオ融資」と呼び、将来的に二つの異なるDNAから新しい通貨を発行しようという突飛な計画をぶち上げている。マツモという侵略者がもたらしたこの混沌は、湖底の価値基準を根本から覆そうとしているのだ。