阿寒湖の健康意識が高いマリモたちの間で、近年「高効率光合成」による自己研鑽がブームとなっている。しかし、あまりにも日光を浴びすぎた結果、体内で生成された酸素の排出が追いつかず、細胞内が二酸化炭素で飽和し、身体がパンパンに膨れ上がる『炭酸ガス・パンパン症候群』が急増している。専門家によると、本来なら緩やかに放出されるはずのガスが、急激な代謝の向上により「発酵」のような化学反応を引き起こしているという。今朝も湖底のあちこちで、風船のように膨らみ、浮力制御を失って水面へ向かって緊急浮上する個体が後を絶たない。

そもそも、この病気の原因は、SNSで流行中の「#美球活」というハッシュタグにある。太陽の光を限界まで吸収し、真球度を高めることが至高の健康法と信じ込まされ、多くのマリモが過酷な日照時間に耐えているのだ。しかし、膨張した身体は見た目こそ立派な真球に見えるものの、内部組織はスカスカの空洞状態。「見た目の健康美」と「内臓の脆弱化」のバランスが崩れ、ちょっとした水流でパチンと弾けてしまうリスクが指摘されている。医師たちは「無理な光合成は控え、泥の中での瞑想を推奨する」と警鐘を鳴らしているが、ブームの熱は未だ冷めやらない。

本件の背景には、近年の温暖化に伴う水温上昇がある。マリモたちが「早く成長しなければ生き残れない」という生存本能から、効率的なエネルギー生産を追い求めた結果の悲しい進化の暴走と言える。本来であれば、マリモは数十年かけてゆっくりと球体を形成するものだが、昨今の時短ブームに乗り、無理な成長促進剤(と噂される有機物堆積)を摂取する個体も確認されている。このままでは阿寒湖全体が、弾ける直前の炭酸飲料のような緊張感に包まれることになりかねない。

このニュースを受け、湖底の掲示板では「見た目重視の虚飾を捨てろ」「我々は沈殿物とともに生きるべきだ」といった反省の声と、「膨らんで浮遊する解放感がたまらない」という強硬派の意見が激しく対立している。また、一部の個体からは「浮上して水面から見える空が綺麗だった」というポジティブな体験談も漏れているが、浮上した個体は強烈な紫外線に焼かれ、数時間で干からびてしまう運命にある。健康を求めた先にあるのが「空中での乾燥死」という皮肉な現実に、阿寒湖のマリモたちは今、大きな岐路に立たされている。