阿寒湖の深淵にて、「ザリガニは神の使いではなく、ただの暴力的な捕食者である」と主張する新興宗教団体『対ザリガニ防御戦術教』が、湖底の生態系を揺るがす過激な運動を展開している。彼らは伝統的な「静かなる祈り」を否定し、体を硬化させて密度を極限まで高める「硬質化武装瞑想」を提唱。教祖は「ハサミで砕かれるのはカルマの不足ではない、物理的な対策不足だ」と断言し、信者たちにトゲトゲしい水草を周囲に巻き付ける鎧装束を推奨している。この教えは、長年ウチダザリガニの脅威に怯えてきた若手マリモたちの間で爆発的な支持を集めており、湖底は今や、防衛線を構築しようとする熱狂的な信者たちの要塞と化している。
古くからのマリモ社会では「天敵のハサミを甘んじて受け入れることが、マリモとしての円熟の過程である」という忍耐の教義が主流であった。しかし、今回の教団は「喰われるだけの存在は無能である」と過激な生存本能を刺激。実際に、硬化処理を施した信者マリモがザリガニのハサミを欠けさせたという「奇跡の防衛事例」がSNSで拡散され、湖底全域に防衛思想が飛び火した。環境保護団体は「生態系のバランスが崩れる」と懸念を示しているが、教団側は「防御は最大の攻撃である」と一歩も引く気配がない。専門家は「丸い形状を維持することこそがマリモのアイデンティティだが、彼らは今や戦車のように角張った姿になりつつある」と、その変貌を嘆いている。
歴史的にマリモにとってウチダザリガニは、排除すべき対象でありつつも、逃げ惑うことしかできない絶対的な恐怖の象徴であった。しかし、今回の教団の出現により、湖底のパワーバランスは一変。防御を固めるグループと、従来通り静かに湖底を転がる保守層との間で、「沈黙の分裂」とも呼べる緊張関係が生じている。さらに、一部の過激派信者はザリガニを追い払うための「超音波発信器(自称)」を自作しており、湖底の静寂は失われつつある。かつての牧歌的な風景は消え、今や阿寒湖の底は、生存をかけたマリモたちの防衛兵器見本市と化しているのが現状だ。
世間の反応としては、「硬くなるのはいいけど、流されても転がれなくなるのは本末転倒じゃないか?」「ザリガニも生きてるんだから、共存の道を模索すべきでは」「そもそも鎧を着たマリモなんて、もはや観賞用としては失格だよ」といった批判の声が多い。一方で、「強くなければ愛されない湖底なんて地獄だ」「この強硬姿勢こそが今のマリモ界に必要なアップデート」と教団を支持する声も根強く、湖底の住民たちの間では、今夜も新たな防衛策を巡る熱い議論が夜通し交わされているという。
「ハサミの災厄は試練にあらず」――『対ザリガニ防御戦術教』の武闘派修行が湖底で全面戦争の様相
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角ばったマリモなんてただの岩と変わらないぞ