阿寒湖小学校は本日、新たに「対・マツモ防衛術」なる科目を全学年に導入したと発表した。これまでマリモ界の教育現場では、天敵である水草「マツモ」の侵食をいかに物理的に回避するか、という防御的思考が主流であった。しかし、今回導入された新カリキュラムは、その逆を行く。なんと、マツモの絡まりを「敵対的排除」ではなく「融合的ハグ」として受け入れ、そのまま自らの養分として吸収・消化するという、極めて情熱的な対話教育である。授業では、巨大なマツモの束を教室に持ち込み、生徒たちが一斉にそれに飛びつき、自身の繊維を絡ませることで「どちらが真の阿寒湖の主か」を競う実技演習が行われた。

本プログラムが提唱された背景には、ここ数年の「光合成効率の低下」と「球体維持への限界」がある。従来の教育は、周囲の水草を排除するだけの消極的なものであったが、それではマツモの圧倒的な繁殖速度に太刀打ちできないという現実があった。そこで教育委員会は、マツモの成長エネルギーを逆利用する「逆転の発想」を採択。「絡まれる前に絡め」を合言葉に、マリモたちは自らの輪郭をあえて崩し、マツモと一体化することでエネルギーを直結させる道を選んだ。なお、この演習によって完全にマツモの姿になってしまった卒業生が昨年度だけで12%に達しており、一部の保護者からは「もはやマリモとしての原形を留めていない」との懸念も上がっている。

世間の反応は真っ二つに割れている。「これぞ究極の受容教育。天敵を飲み込んでこそ真の藻である」という肯定派の声が上がる一方で、「球体としての矜持はどこへ行ったのか」「明日から自分の形が分からなくなりそうだ」という嘆きも散見される。特に、マツモの独特な硬質感を好む一部の過激派生徒の間では、この授業が「マツモ至上主義への洗脳ではないか」と噂されており、阿寒湖小の門前では抗議活動として、全員で微動だにせず光合成を行うという静かなるデモが連日繰り広げられている。