湖底に静寂をもたらすはずの光合成が、いまや破壊的なスピードへと昇華された。阿寒湖の深部で開催された『第1回・湖底・光合成エネルギー放出・超加速ドリフト・グランプリ』は、従来の「静止こそ至高」というマリモ界の伝統を完全に粉砕する衝撃的な結末を迎えた。今大会では、蓄積した酸素の気泡を一気に放出して推力を得る特殊技術が解禁され、かつての「重力無視・浮遊ダンス」とは一線を画す過激な旋回性能が披露された。決勝戦では、トップ選手の「回転数こそが美徳」とする過激派と、従来の「超低速仁王立ち」を頑なに守る守旧派が激突。結果として、遠心力で湖底のヘドロを豪快に巻き上げながら時速0.000001ミリという驚異的な速度を叩き出した新星マリモが優勝を飾った。かつて「動かざること山のごとし」と称えられたマリモたちが、今や湖底の路面をタイヤならぬ体表で削り取る「ドリフター」へと変貌を遂げた瞬間だった。

マリモは本来、日光を浴びて光合成を行う際に気泡を発生させるが、本大会はこの気泡の噴出方向を制御することで推進力を得るという、極めて高度な物理演算を要する競技である。昨今の『対ザリガニ防衛戦』や『マツモ一掃トーナメント』で鍛え上げられたマリモたちの生存本能が、競技スポーツとして進化し、今回の「超加速ドリフト」へと結実した。専門家によれば、この過度な加速は光合成効率を飛躍的に向上させる一方、摩擦による繊維の損傷も懸念されるという。今後、国際マリモ連盟は「速度制限の設置」を議論する予定だが、選手たちの熱狂は冷める気配がない。

「ついに動いてしまったか」「静止こそがマリモの誇りだったのに」「ドリフト後の光合成チャージ時間は何分ですか?」「泥を被るのも演出の一部なのか?」「次回のグランプリではタイヤ跡ならぬ『繊維の削り跡』を競うべきだ」など、湖底全域で賛否両論の嵐が巻き起こっている。