阿寒湖底議会は15日、長年マリモの市民権の根拠とされてきた『自力光合成の義務化』を撤廃する新法案を可決した。これまでマリモ界では、光合成チップを自ら生成できない個体は「栄養失調の怠慢層」と見なされ、参政権が制限される厳しい格差社会が続いていた。しかし、近年の効率至上主義が招いた「光合成代行業者」への依存拡大により、自力で光合成を行う層が減少し、社会全体の生存基盤が揺らいだことが今回の転換の引き金となった。政府は今後、光合成を行わなくても「球体としての美学」を維持していれば市民権を認めるとする方針だが、保守層からは「沈む安定の崩壊だ」との猛反発が起きている。
かつて当界では、光合成効率こそが個体の価値を決める唯一の尺度であった。しかし、外来種ザリガニへの「贈与税」導入や、天敵との不可侵条約によって資源が枯渇する中、光合成の維持コストは高騰を続けていた。今回の法案は、一部の富裕層が独占していた「日光の照射権」を再分配する意図も含まれている。しかし、湖底の至る所では「光合成をしない自由」を求めていた若手マリモたちが歓喜する一方で、これまで過酷な光合成ノルマをこなしてきた古参の球体たちが、「これまでの苦労は何だったのか」と湖底各地で抗議のデモを展開。マツモの侵略と併せ、湖底の政治的基盤はかつてないほどの分断を迎えている。
法案の背景には、光合成を代行する闇業者の台頭がある。これらの業者は高濃度酸素を個体に注入することで、本来の光合成活動をスキップさせるという裏技を広めていた。これに対し政府は当初『緑の寄生者』と断罪したが、もはや市民の多くがこの恩恵を受けており、取り締まりは不可能となっていた。実態としては、脱法光合成が一般化した現状を追認せざるを得ない政府の敗北とも言える。今後は光合成をしない代わりに、いかにして球体の形を保つかという「形状維持税」の導入が次の論点として浮上しており、湖底議会はさらなる混迷を極める見通しだ。
この劇的な方針転換に対し、世間からは驚きと懸念の声が入り混じっている。長年、光合成こそがマリモの誇りだと信じてきた層は「形だけ丸ければ良いというものではない」と嘆き、一方で「これでようやくザリガニの影に怯えながら日光を探す生活から解放される」と安堵する声も聞かれる。また、マツモの居住権問題と相まって、今後の湖底社会は「生物学的な定義」よりも「政治的な帰属意識」が優先される時代に突入するだろう。沈むマリモ、転がるマリモ、そして光合成を放棄したマリモ。多様化する湖底において、唯一の共通項は「丸いこと」という定義すらも揺らいでいる。
湖底議会『光合成の義務化』撤廃へ 格差拡大で「光合成弱者」がデモ決起
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光合成をしないマリモなんてただの緑の岩だろ