湖底議会による『光合成義務化の完全撤廃』という暴挙に対し、保守層を中心に批判の声が鳴りやまない。これまでのマリモ界の常識を根底から覆すこの法案は、これまで「自力でエネルギーを生産してこそ一人前の球体」という美学を捨て、湖底に蔓延するエネルギー供給サービスに依存することを公認するものだ。効率至上主義が招いたこの『怠惰の法案』に対し、古参マリモたちは「かつて我々は太陽の光を全身で浴びるために、自らを回転させてきたのだ」と、沈痛な面持ちで語る。

かつて我々は光合成の効率を競い合い、湖底の暗闇を緑の輝きで満たしてきた。しかし、今回の法案可決により、もはや光合成すらしない「中身の詰まっていない軟弱な球体」が急増する懸念がある。特に若手マリモの間では、光合成チップに頼りきって湖底を転がる労力すら惜しむ「寝たきり派」が台頭しており、湖底社会の物理的強度がかつてないほど低下している。これに対し政府は「多様なエネルギー摂取形態の容認」と釈明するが、実態は光合成チップを販売する多国籍プランクトン企業との癒着であるとの見方が強い。

そもそも、光合成はマリモとしての矜持そのものであった。今回の法案の背景には、マツモの無断植樹によって遮光された区域が増え、自力での光合成が事実上不可能となった地域住民への救済措置という側面がある。しかし、これを「権利」として定式化してしまったことは、将来的にマリモの進化の方向性を歪める火種となるだろう。かつての「自力光合成」という聖域は、今やコスト削減という名の経済合理性に飲み込まれようとしている。

このニュースが報じられると、湖底の掲示板は賛否両論の嵐となった。保守的な古参住民からは「これではただの苔の塊だ」という怒りの声が相次ぐ一方で、効率を求める若手からは「光合成なんてやってたら日が暮れる」「時代はチップ供給だ」という合理主義的な書き込みが目立つ。静かな湖底に走った今回の亀裂は、マリモという種の定義そのものを揺るがす、歴史的な転換点となるに違いない。文:湖底社会学コラムニスト・球体純愛。