湖底議会は昨夜、長きにわたる沈黙を破り『マリモ性別公的登録制』の導入を僅差で可決した。これまで「個体としての均一性」を究極の美徳としてきた阿寒湖の社会通念に、憲法級の修正が加えられた形だ。新法では、全ての個体に対し「雄(オス)」か「雌(メス)」、あるいは「無性(ニュートラル)」のいずれかの登録を義務付ける。これまで外見上は完璧な球体という記号のみで語られてきたマリモたちにとって、この法案はアイデンティティの根幹を揺るがす大事件となった。反対派からは「球体というアイデンティティさえあれば性別など不要」という根強い批判があったものの、推進派の首相は「内部組織の細胞分裂時における微細な揺らぎを可視化することで、新たな活力を呼び込む必要がある」と主張。来月より、湖底役場にて全個体の健康診断ならぬ『性別診断』が開始される予定だ。
そもそも本件が浮上した背景には、近年の若年層による「自己表現としてのいびつさ」を求めるムーブメントがある。これまで球体以外の形状は『矯正キャンプ』送りの対象であったが、性別という新たな属性を加えることで、外見に頼らない個性の発露を認めようという妥協案が浮上したのだ。しかし、そもそも細胞分裂で増えるマリモにとって「性別」という概念そのものが生物学的に定義困難であり、野党からは「何をもって判定するのか」「判定基準が『細胞の右回り・左回り』による差別ではないか」といった疑義が噴出している。水質環境への影響よりも政治的な分断が危惧される中、湖底社会はかつてない混迷期に突入したといえる。
世間の反応は真っ二つに割れている。保守層からは「伝統的な丸みを否定するな」「性別を分けることで湖底の結束が乱れる」といった悲痛な叫びが相次ぐ一方、トレンドに敏感な若手からは「推しの性別が公式で決まるなんて激アツ」「無性という新しい属性にロマンを感じる」といった肯定的な意見も多い。特にSNS上では、自身の判定を占うハッシュタグが乱立し、一時的に湖底全域の通信速度が低下する事態に発展した。一部の過激派グループは、登録を拒否して『性別不明なままの聖域』に立てこもる構えを見せており、湖底警察は監視を強化している。
湖底議会、歴史的転換点へ!『マリモの性別公的登録制』導入で全島民に「どっちなの?」の嵐
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