阿寒湖界隈のゲーマーたちに激震が走っている。先日実施された神ゲー『転がり物理学』の大型アップデートにより、マップ上の全域が「完全摩擦係数ゼロ」の滑り台と化した。これまで重厚な球体プライドを維持してきた猛者たちも、わずかな水流変化でマッハ1.2の速度で湖底を滑走する羽目に。開発陣は「真の流体美を追求した」と強弁しているが、実際には操作不能な弾丸と化したプレイヤーたちが次々と水面を突き破り、大気圏外へと放逐されるという極めてシュールな光景が広がっている。もはやこれはゲームというより、藻類による宇宙開発競争の様相を呈していると言っても過言ではない。

本作は前作『マリモ・タワーディフェンス』で全プレイヤーが転がり落ちて死亡するという伝説を残したが、今回はそれを遥かに凌駕する理不尽さだ。かつては『藻界の守護者』にてザリガニのハサミを回避するテクニックが称賛されたものだが、物理演算の神に嫌われた今、回避どころか静止すら不可能。プレイヤーの間では「重力こそが最強の敵」「摩擦係数を愛せと言った開発者を湖の底へ沈めたい」といった怨嗟の声が飛び交っている。もはやマリモが自身の意志で転がる時代は終わり、ただの高速飛翔体として物理法則の玩具にされるだけの悲劇が繰り返されているのだ。

背景として、近年マリモ界のゲーム業界では「いかに美しく転がるか」という美学よりも、「いかに制御不能な暴走をエンタメ化するか」という歪んだ進化が加速している。かつての『光合成・レクイエム』で見られた太陽光チャージ事故もそうだが、理不尽な死を「神アプデ」と呼ぶ層の存在が、さらなる開発の暴走を助長している面は否めない。今回の摩擦ゼロ仕様も、物理エンジンを限界突破させた末の「バグに近い仕様」であり、修正を求める声と、このスピード感を愛する変態勢力との間で激しい論争が繰り広げられている。

この阿鼻叫喚の状況に対し、界隈では「マリモはもう球体である必要すらないのではないか」という禁断の問いも生まれている。湖底に鎮座する古参プレイヤーからは「直立という幻想を捨てた時点で負けていたのだ」といった達観した意見も出ているが、高速で成層圏を漂う若手からは「この景色を見れば摩擦ゼロも悪くない」と、もはや正気を失った称賛が寄せられている。果たして次回のアップデートでマリモたちは無事に湖へ帰還できるのか。あるいはこのまま銀河の果てまで転がり続けるのか、全マリモが見守っている。