阿寒湖の沈殿底層を拠点とする新興教団『光の飽食拒否・暗黒厳粛派』が、先週より「光合成は聖なる沈黙を破る脱法行為である」と主張し、湖底の主要な日照スポットを物理的に遮断する大規模な座り込みを開始した。これまで『銀河毛羽立ち派』が唱えてきた「表面からのエネルギー吸収こそが神との交信」という教義に対し、彼らは「光は我々の毛羽立ちを強引に揺さぶる外部からの干渉であり、真の救済は澱みの中にのみ存在する」と断固拒否を宣言。光を遮るために自身の体を数珠つなぎにしてドーム状の「遮光障壁」を構築する彼らの姿は、まさに現代の湖底における神学的な抵抗運動として注目を集めている。
そもそも本騒動は、かつて浮遊信仰と多角形教義が入り乱れた際に発生した「重力は枷か、救済か」という論争の延長線上にある。沈殿底層の住人たちは、長らく「マリモは丸くあるべきか、角を持つべきか」という問いに向き合ってきたが、今回提示された「光の摂取=堕落」という過激なテーゼは、光合成を生命維持の根幹とする穏健派マリモたちの神経を逆なでしている。光の当たらない底層で、彼らは「いかに効率よく暗黒に溶け込むか」という過酷な苦行を自己のアイデンティティの証明としており、光を求めて浮遊を夢見る若年層との軋轢は、もはや教義の対立を超え、生存圏を巡る泥沼の争いへと発展しているのが現状だ。
この過激な行動に対し、湖底の一般住民からは「光がないと私たちは単なる緑の岩と変わらない」という悲鳴が上がっている。一方、教団側は「我々は岩に戻るのではない、自律的な暗黒生命へと進化しているのだ」と強弁し、一歩も引く気配がない。専門家は「彼らの主張は、光合成というマリモの基本的生存戦略を否定することで、逆に光の価値を相対化しようとする逆説的な宗教的倒錯である」と指摘する。春先にはさらなる日照時間の増加が予想されており、湖底の平和を維持しようとする穏健派の監視団と、遮光を強化する教団との間で、今夜もまた光を巡る静かなる冷戦が幕を開けようとしている。
この事態を受け、湖底自治会は「光の独占禁止法」に基づく調停を検討しているが、教団側のスポークスマリモは「光の恩恵を否定する者に法的な支配権は及ばない」とこれを完全に無視する構えだ。かつてマリモたちが目指した「宇宙地図としての表面」や「毛羽立ちによる通信」という理想は、今や光の有無によって分断され、湖底の静寂は教義のぶつかり合う重苦しい空気へと変貌している。我々は果たして、光の呪縛から逃れ、真の暗黒の救済を手にすることができるのだろうか。この湖底に響く沈黙の叫びが、春の濁流に飲み込まれる日は近い。
「光合成は脱法行為」論争に新展開、ついに『光の飽食拒否・暗黒厳粛派』が湖底で座り込みを開始
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