湖底相撲界の最高峰である「阿寒湖・春の場所」において、無敵の横綱として君臨するマリモの『円(まる)』が、宿敵である水草・マツモを完封する驚異の技を繰り出した。試合中盤、マツモの長い茎がマリモの体を幾重にも巻き付け、動きを封じるお家芸の「締め込み」が発動。会場中がマツモの勝利を確信したその瞬間、マリモは自らの光合成エネルギーを急激に解放し、周囲の湖水を一時的に超高温化させる『熱狂・蒸気噴射』を敢行した。この急激な水温変化に耐えきれなくなったマツモが、熱さのあまり苦悶の表情を浮かべて収縮。マリモはその弾力性を活かして高速スピンへと移行し、絡まっていたマツモを逆回転の遠心力で湖の彼方へと吹き飛ばすという、前代未聞の逆転劇を見せつけた。

マリモと水草であるマツモは、日光と養分を奪い合う数千年来のライバル関係にある。特に競技大会においては、マツモの「絡まり」は最強の防御技として知られてきた。かつてはマツモに絡まれると、マリモは身動きが取れず時間切れで判定負けとなるのが湖底界の常識であった。しかし、今回披露されたカウンター技は、マツモの長所である「柔軟性」を逆手に取り、熱エネルギーによってその弾性を崩壊させるという、まさに科学と筋肉ならぬ「球体筋肉」の融合による芸術的な一撃となった。なお、吹き飛ばされたマツモは現在、湖の反対側で光合成を再開しつつ、再戦に向けて特訓を始めているという。

今回の結末を受け、湖底相撲界には激震が走っている。審判団からは「あまりに熱すぎて藻類が茹で上がる危険性がある」として、次場所から『蒸気噴射』の使用制限が検討される見込みだ。一方で、マリモのファンからは「ついにマツモの呪縛から解放された」「これで春の陽気が戻ってくる」と歓喜の声が上がっている。長年、マツモの進出に悩まされてきた湖底住人たちにとって、今回の勝利は単なる一勝以上の意味を持つ。球体という完璧なフォルムが、いかにして生物的な「もつれ」を制するか、その物理学的な考察が各界の研究者たちの間で急ピッチで進められている。今後はマツモ側も耐熱性の進化という新たな戦略を立ててくることが予想され、湖底のパワーバランスはさらなる混沌の渦中へと突き進むことになりそうだ。