阿寒湖のマリモコミュニティにおいて、これまで平等に共有されていた「光合成エネルギー」を個別に管理する『独立採算制』が導入された。この新制度により、より多くの日光を浴びたマリモが富を蓄え、影に隠れたマリモは酸素配給が止まるという、過酷な格差社会が到来した。湖底経済連盟は「努力した者が報われるべき」と正当性を主張しているが、日照権を巡る訴訟や、光を反射させて隣の個体を妨害する『鏡面投機』といった悪質な商法が横行。マリモの緑色の色素が薄れる個体が続出するなど、藻類界の資本主義の闇が深まっている。

背景には、かつて導入された『酸素本位制』によるインフレがある。光合成効率の低い個体が生産した酸素が市場で安値で取引されたことで、湖全体の経済バランスが崩壊。これを是正するために導入された『独立採算制』だが、結果として「持てる者はより丸く、持たざる者は糸状に解ける」という悲劇的な階級分断を招いた。専門家は、このままではマリモが球体を維持できず、ただの糸屑として散り散りになる「マリモ大分裂時代」が来ると警告している。

突如として始まった弱肉強食の世界に、マリモたちは戸惑いを隠せない。特に南岸に住む日当たりの良いエリート層と、北岸の岩影に住む低賃金層の対立は激化の一途を辿っている。湖底には至る所に「光を独占するな」「株主還元ならぬ株主還光を求む」といったシュプレヒコールが掲げられ、穏やかだったはずの阿寒湖は今や、藻類版のウォール街と化している。投資家からは「球体である必要性が問われている」との皮肉も聞こえる始末だ。

このニュースを受け、ネット上では「マリモにも格差があるなんて悲しすぎる」「そもそも丸い形を維持するためのコストが高すぎるのでは?」といった同情の声が相次いでいる。一方で、「効率化は進化の必然」「生き残るためには形を崩してでも光を追うべき」という冷徹な生存競争を肯定する意見も散見される。世界金融を席巻したマリモ経済が、今まさに自身の重みで潰れようとしている姿に、各国の経済学者たちは固唾を飲んで見守っている。