FreeCADで3Dプリンター用のSTLデータを作る(4) - パーツデザインで壺を作る

By | 2017年6月23日

前回は FreeCAD で用意されている図形を組み合わせてマグカップを作りました。2つの図形で減算処理を行うことで、簡単にコップのような内部が空洞になった図形が作れることを紹介しました。

今回は、自分で図形をデザインする方法を紹介します。例として、壺状の図形を作成し、実際に壺としてプリントできるSTLを作ってみましょう。

FreeCADでデザインした壺のSTLを3Dプリンターでプリントしたもの

これは、今回作るSTLを実際に3Dプリンターでプリントしたものです。

パーツデザイン(Part Design)

いままでは「Part」のモードで3Dを作成していました。今回は今までとは異なり「Part Design」という編集モードを使用します。

画面上部のプルダウンメニューから「Part Design」を選択してください。

FreeCADのパーツデザイン(Part Design)モード

スケッチの作成

画面が切り替わったら、左のコンボビューの「スケッチを作成」または左上にある「新規スケッチを作成」のボタンを押してください。

Part Design で新規スケッチを作成

以下のようなダイアログが現れますので、スケッチの向きを「xy平面」としてOKを押してください。

スケッチの向きなどを設定する新規スケッチ作成ダイアログ

画面にグリッドが表示された以下のようなスケッチ作成画面に切り替わります。

FreeCADのスケッチ作成の画面

この画面上に、線で図形の輪郭をデザインしていきます。まず、上部メニューから「中心点から円を作る」を選択してください。これはスケッチ上に円を描くためのツールです。

選択したら、画面の適当な場所で、一度だけマウスを左クリックしてください。すると、円の描画モードとなり、マウスを動かすと円の大きさを調節できます。うな

スケッチで円を描く

円の大きさは後で調節しますので、適当な大きさにして、もう一度マウスを左クリックしてください。すると円の描画が完了します。

スケッチの拘束

スケッチ上に作成された円

円の中心がスケッチの中心からずれていると作業がし難いので、まず円をスケッチの中心に移動させます。これは、一致拘束という機能を使うと簡単にできます。

Ctrlキーを押しながら、円の中心の点とスケッチの中心の点をクリックしてください。以下のように、どちらの点も緑色になればOKです。

2つの点を選択状態にする

次に、一致拘束を行います。上部のメニューから「選択されているアイテムに対して一致拘束を作成」を選択してください。

円の中心点をスケッチの中心点に一致拘束する

これによって、円の中心点がスケッチの中心点に重なります。

一致拘束をかけたスケッチの原点と円の中心点

次に、円の半径を設定します。円(円周部分)をクリックして選択状態にして「円または円弧の半径を固定」を選択します。

選択状態の円の半径を設定

次のようなダイアログが現れますので、半径を 20mm としてOKを押してください。

円の半径を設定するダイアログ

すると、このように円の半径が固定された状態となります。

円の半径が固定された円のスケッチ

スケッチの複製

以上の設定が完了したら、左側のコンボメニューのタスクにある「Close」ボタンを押してタスクを閉じてください。すると、画面からスケッチのグリッドが消え、今まで図形を扱ってきたモデル画面に戻ります。

モデルビューに表示されたスケッチの円

このモデルビュー上にあるスケッチは、前回図形に行ったのと同じように、移動や変形、コピーや貼り付けを行うことができます

次に行う作業のために、視点をZX平面に切り替えます。円を横から見る視点になるため、円が直線に見えますが大丈夫です。

モデルビューから円のスケッチの上で右クリック → コピー を選択します。

スケッチをコピー

再度右クリックして「貼り付け」を行い、スケッチの複製を作ります。そして、作ったコピーの位置をZ軸方向に 20mm 移動させます。

スケッチをZ軸方向に移動

さらに、円の半径も変更します。移動させた円のスケッチを選択して、画面左下に現れるプロパティ「Constraints」を展開し、その中の数値を変更することで円の半径が変化します。

スケッチの円の半径を変更

同様に「円のスケッチのコピー&貼り付け」「コピーした円をZ軸方向への移動」「円の半径を変更」を繰り返し、以下のように、これらの円を横から見たときに壺の形に見えるように調節します。

複数のスケッチによって形作られる3Dモデルの形状

視点を少し動かすと、以下のように円が並んでいる状態であることがわかります。これが壺の輪郭となります。

複数のスケッチからなる壺の3Dモデル

これらの円をつないだ3Dモデルができれば、壺になりそうです。これを行うには、円をつなぐ方向と長さを決めるためのスケッチを描く必要があります。

結合経路となるスケッチの作成

それでは、そのスケッチを描いていきましょう。再度「新規スケッチの作成」をクリックし、今度はXZ平面(先ほど作った円を貫く方向)のスケッチを作成します。

FreeCADでXZ平面のスケッチを作成

作成すると、円を横から見たスケッチの作成画面となります。

XZ平面のスケッチ

では、円をつなげる経路となる直線を描きます。画面上部にある「スケッチ上に直線を作成」をクリックします。

スケッチ上に直線を作成

縦に線を引いてください。線はピッタリ垂直でなくてもかまいません。

直線が描かれたスケッチ

線が垂直でない場合、線を選択状態にして「選択されているアイテムに対して垂直拘束を作成する」を押せば、線が垂直となります。

スケッチ上の直線に垂直拘束を設定

垂直拘束を行おうとした直線がすでに垂直であった場合は以下のダイアログが表示されます。この場合はそのままでOKです。

既に垂直拘束されている直線を拘束しようとした場合のダイアログ

直線を垂直とした後、直線の下端の点がスケッチの原点と重なるように「選択されているアイテムに対して一致拘束を作成」で一致拘束を行ってください。

次に、直線の長さを固定します。直線を選択状態にして「2点間または直線端点間の垂直距離を拘束」をクリックしてください。

直線の長さを固定する設定

表示されるダイアログに、長さを入力します。先ほど作成した円がすべて貫かれる長さにしてください。

直線の長さを入力

以下のようになればOKです。

2つのスケッチを組み合わせたスケッチ

スイープユーティリティによる3Dモデルの作成

それでは、スケッチを立体化します。編集モードを「Part」に変更してください。また、コンボビューにはモデルが表示されるようにします。

スケッチを立体化して3Dモデルを作成する

スイープユーティリティ」を選択します。これは、複数のスケッチから一つのつながった立体を作成できるツールです。

以下のような画面が開きます。

スイープユーティリティの画面

ここでは、まず、つなげたいスケッチをスイープ(右側)に移動させます。スケッチを選択して、右矢印をクリックすると、スイープに移動します。

今回は、直線以外の円をすべてスイープ側へ移動させます。

スケッチからスイープを作成する準備

次に、経路となるスケッチを選択します。「スイープ経路」のボタンを押すと、右側の画面からスイープ経路となるスケッチを選択するモードとなります。

今回は中心の直線をスイープ経路としますので、以下のように直線を選択状態にして「終了」をクリックしてください。

スイープ経路となるスケッチを選択

その後「ソリッド作成」にチェックを入れてください。

チェックを入れた後に「OK」を押すと、以下のように3Dモデルが作成されます。

スイーブユーティリティから作成したソリッドの3Dモデル

減算処理による空洞化

壺らしくなりましたが、この状態では中の空洞がありません。

中の空洞は、一回り小さい壺を同様の方法で作り、前回と同じように減算処理を行ってつくります。

まず、作業がしやすいように、今できた壺のモデルを非表示にします。壺のモデルを選択状態にしてSpaceキースペースキー)を押すと、そのモデルの表示/非表示の切り替えを行えます。一度スペースキーを押して非表示かしておいてください。

その後、壺の輪郭部分となる円のスケッチを全てコピーして、半径を数mm小さくしていきます。スイープで使用したスケッチは「Sweep」というグループの中にまとめられていますので、その中から選んでコピーします。

スケッチをコピーして一回り小さい壺を作成する

この時、底となる円だけは、少し高くなるようにZ軸方向に移動させます。そうしないと、減算処理したときに底が抜けた壺になってしまいます。

壺の底を作る

「スイーブユーティリティ」で先ほどと同様に立体化します。

スケッチからスイーブユーティリティで立体を作成

大きい壺から小さい壺を減算処理して完成です。

FreeCADの減算処理

中が空洞となった壺の3Dモデル

STLとして出力し、3Dプリンターのソフトで読み込めばプリント可能です。

FlashPrintでSTLを読み込む

以上、パーツデザインでスケッチから複雑な図形の3Dモデルを作成する方法でした。

スケッチとスイープユーティリティを組み合わせることで簡単に曲線を作ることができ、で曲がりくねったパイプなどをデザインすることも可能です。

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