蕗(フキ)の栄養について調べてみました。
フキとは
フキは日本が原産のキク科の多年生植物で、韓国や中国にも分布しています。
野生のフキ以外にも、フキの栽培品種があり「愛知早生フキ」「水ブキ」「アキタブキ」「ノビスギデンネン」など200種以上あると言われます。
栽培が盛んな地域は愛知県や群馬県、大阪府、北海道などです。
フキの栄養
フキの葉柄100gあたりの成分と、フキノトウ100gあたりの成分を表にまとめます。
どちらも茹でたものの栄養成分です。
名称 | フキ | フキノトウ |
---|---|---|
エネルギー | 8kcal | 32kcal |
水分 | 97.4g | 89.2g |
たんぱく質 | 0.3g | 2.5g |
脂質 | 0 | 0.1g |
炭水化物 | 1.9g | 7.0g |
食物繊維 | 1.1g | 4.2g |
β-カロテン | 60μg | 260μg |
ビタミンK | 5μg | 69μg |
ビタミンC | 3mg | 3mg |
ビタミンB1 | 0 | 0.06mg |
ビタミンB2 | 0.01mg | 0.08mg |
ビタミンB6 | 0.08mg | 0.07mg |
ナイアシン | 0.1mg | 0.5mg |
ナトリウム | 22mg | 3mg |
カリウム | 230mg | 440mg |
カルシウム | 34mg | 46mg |
マグネシウム | 5mg | 33mg |
リン | 15mg | 54mg |
鉄 | 0.1g | 0.7mg |
銅 | 0.05mg | 0.2mg |
亜鉛 | 0.2mg | 0.5mg |
パントテン酸 | 0 | 0.24mg |
葉酸 | 9μg | 83μg |
http://fooddb.mext.go.jp/result/result_top.pl?USER_ID=13444
ほとんど水分で何も特筆すべき栄養はないようです。フキノトウは少し栄養があります。
栄養面ではもやしよりひどいと言わざるを得ません。
フキ特有のポリフェノールなど
フキには特別なポリフェノールが含まれているという話があります。
フキから抽出される代表的な化学物質は以下の4つと言われます。
- クロロゲン酸
- 3,5-ジカフェオイルキナ酸
- 3,4,5-トリカフェオイルキナ酸
- フキノール酸
どうやらフキノール酸というポリフェノールのひとつが含まれているそうです。あまり聞きなれないポリフェノールです。
フキには様々なポリフェノールが含まれています。
代表的なものにクロロゲン酸、カフェ酸、ジカフェオイルキナ酸などがありますが、フキ特有のポリフェノールにフキノール酸とわずかにペタシフェノールが確認されています。
抗酸化機能分析研究センター
フキノール酸とは
フキノール酸は咳止めの成分に含まれているそうです。
ふきのとうに含まれているフキノール酸は、咳止め薬としてもよく使用されており、さらに、ふきのとうと同じく春の訪れを知らせる花粉症への効果が注目され、花粉症対策の薬にも含まれるようになっています。
フキノール酸は花粉症に効果!便秘に咳止めも期待できるふきのとう! | 便秘ドクターの救急箱
また、フキノール酸にはある程度の抗酸化作用があることが確かめられています。
活性酸素のスーパーオキシドアニオンを消去する効果は
エピガロカテキンガレート > 没食子酸 > フキノール酸 > クロロゲン酸
の順、ヒドロキシルラジカルを消去する効果は
エピガロカテキンガレート > クロロゲン酸 > フキノール酸 > 没食子酸
の順、一酸化窒素を消去する効果は
エピガロカテキンガレート > フキノール酸 > クロロゲン酸
の順、であったと以下の文献では報告されています。
フキノール酸のラジカル消去能について Radical Scavenging Activity of Fukinolic Acid
こうしてみると、緑茶に含まれているポリフェノールであるカテキン(エピガロカテキンガレート)の抗酸化作用の強さがわかります。
フキエキス
愛知県産フキから抽出したフキエキスには抗アレルギー効果があることがわかり、実際に人に対する実験でも花粉症やアトピー性皮膚炎の薬として有用であることが明らかになったそうです。
愛知県産フキから抽出したエキスの抗アレルギー活性評価を行った結果,マスト細胞からの脱顆粒,ロイコトリエン遊離及び TNF-α産生に対する抑制作用の他,血管や気管の平滑筋収縮に対する抑制作用を有することを見出しました。
さらに,in vivo での有効性を確認するとともに,ヒトでの評価も実施しました。
一方,有効成分としてセスキテルペン 2 種,ポリフェノール 6 種およびトリテルペン配糖体 2 種を単離同定するとともに,1) 新規セスキテルペン配糖体 fukinoside を単離構造決定しました。2) これらの活性成分を含有する「フキエキス」は,花粉症やアトピー性皮膚炎の症状緩和を目的とした抗アレルギー作用訴求製品にお使いいただけるものと考えております。
オリザ油化株式会社 フキエキス JAPANESE BUTTERBUR EXTRACT 抗アレルギー・花粉症予防 食品素材
おしまい
フキといえば食べる部分は葉柄ですが、この部分には驚くほど何も栄養がなかったです。
ポリフェノールはフキノール酸が含まれていることがわかりました。
ちなみにフキは英語で
- japanese butterbur
- petasites japonicus
などと呼ばれていますが、フキの健康効果に関する海外の文献はほとんど見当たりませんでした。
日本の食べ物なので当然といえば当然ですが…
Japanese Butterbur, Petasites japonicus – Flowers – NatureGate
参考
オリザ油化株式会社 フキエキス JAPANESE BUTTERBUR EXTRACT 抗アレルギー・花粉症予防 食品素材
フキノール酸のラジカル消去能について Radical Scavenging Activity of Fukinolic Acid